レミリアの妹

掃除してから幾らくらい手を動かしただろうか、仕事をするのは疲れる物だと思いながらも、自らの生活のために手を動かさざるを得なかった。
それにしても広い、廊下だけで丸1日かかりそうな気がする。
先に最も綺麗にしておくべき部屋をやった方が良いと思ったのか、最寄りの部屋のドアを開けて中に入るのであった。
最寄りと言ってもレミリアが居た部屋の隣の部屋だ。
この部屋は寝室兼休憩室となっているのかベッドと軽い家具にテーブルなどが置かれている。
恐らく、此処の屋敷のお嬢さんであるレミリアは此処でお茶をするのだろう。
そんなことを思っているときに、部屋の片隅から鼻を啜るような音が聞こえたのを感じるのであった。
ムーンは首を傾げて部屋に侵入して部屋をよく観察すればベッドの側面に顔を埋めて泣いているのかどうかは分からないが、レミリアと同じような感じの服装をし、非常に特徴的な羽を生やしている金髪の少女が泣いていた。
ムーンは箒と塵取りを持って突っ立っていて泣いている少女は此方にはまだ気づいていないようであった。
「おい、どうした?」
「・・・あなた、誰?」
「俺は此処に働きに来た外来人、シャドウ・ムーンだ。」
「そう、食べられない人間なのね・・・」
ムーンはとりあえず、相手に声を掛けてどうしたのかを聞こうとした。
金髪の少女はベッドに埋めていた涙目の顔をムーンの方に向けて、キョトンとした感じで可愛らしく首を傾げるように言葉を言った。
ムーンはこの館に住まう1人の人物と分かって居たのでさほど警戒はせずに先ほどと同じように名を名乗るのであった。
それを聞いて居た金髪の少女は詰まらなさそうに普通に聞くと変な感じの言葉を言ってフウと息をつくのであった。
「・・・何者なんだ?」
「私はフランドール・スカーレット。」
「スカーレット?レミリアの妹か?」
「そうよ、アイツ、最近、冷たいの・・・」
「冷たい?」
「遊んでくれないの・・・」
ムーンは相手から感じる異様な雰囲気に押されながらも静かに言葉を言い、質問した。
金髪の少女はムーンの聞きたかった答えとは違い、自らの自己紹介をしたのだが、相手の名前にムーンは惹かれてしまってハッとした感じで言葉を言った。
ムーンの言葉にもフランは興味なさそうに冷たい言葉を返すだけだった。
幾らかそれからも会話は続けられるが、フランは誰にも相手にされず、寂しいと言う事が分かった。
この館の問題児なのだろうか、それともレミリアがフランを嫌っているのか。
まあ、それはともかくとして、疎外されているのは可哀想だ。
一緒に掃除でも手伝って貰おうかなんて、企んでいたがフランは早速、相手をしてくれそうなムーンに対して言葉を言う。
「私と遊んでくれるかしら?」
「掃除が終わったらな、手伝ってくれるのなら少しは早く終わりそうだが。」
「忙しいの?」
「まあな、広いからな・・・」
「忙しいってどんな感じ?」
「何かに追われてるって感じだな、やってみれば分かる。」
「ふーん、私にもやらせてくれる?」
「まあ、やりたいのなら手伝ってくれないか?」
フランは構ってくれる人を見つけたので、表情をすっかりと元に戻してムーンに対して無邪気に遊ぶように要求するのであった。
フランの可愛い仕草にムーンは思わず心が揺らいでしまいそうになったが、は掃除を申しつけられた身であるので、職務を放棄して遊ぶとどんな目に会うか分からない。
ムーンはダメ元で、そんなフランに対して手伝うように言うのであったが、「忙しい」という感情自体が理解できていないようである。
ムーンは世間を知らない子だと思いながら
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まろやか投稿小説 Ver1.50