謁見、そして仕事へ

丁度、図書館でチルノのバカっぷりが披露された頃であろうか・・・
ムーンはやはり薄暗い廊下を銀髪の少女に連れられて歩いているのであったが、不意に奥の方に飛び出すように出てきた誰か向こうに遠ざかっていく影が見えた。
誰なんだろうかと疑問に思ったが、銀髪の少女は何も言わずにムーンを連れて行くのみであった。
「粗相の無いように・・・ね?」
「分かってる。」
「お嬢様、客人をお連れしました。」
「入りなさい。」
ムーンはメイドの少女に連れられて、家主が居る部屋に繋がるであろうドアにいた。
先ほど、何かが出てきて去っていたのもこのドアだったはずだが、銀髪の少女が呼び止めない感じでは出て行ったのは家主では無いようだ。
2人が向かっているドアは荘厳でいかにも大物が居そうというような感じであり、こんな立派な扉は久々に見る。
銀髪の少女はムーンに対して忠告をするが、ムーンは当たり前といった感じで軽く言葉を返すだけであった。
そして銀髪の少女は先ほどの砕けた感じとは違う、丁寧な口調で中に対して問いかけた後にドアをノックした。
部屋の中からは、威厳のある女性の言葉が聞こえてくる、一体、此の紅魔館の主はどのような人物なのであろうか。
銀髪の少女は扉を開けて一礼し、ムーンをまず部屋の中に入れるようである。
こうやって客として歓待を受けるのは久々だと思いながらもゆっくりと中に入るのであった。
「あなたが黒い外来人、シャドウ・ムーン?」
「・・・ああ、そうだ。」
「私は此処、紅魔館の主、レミリア・スカーレット、せいぜい頑張るのね。」
「え?どういうことだ?」
「あら、此処に働きに来たんじゃないの?」
「霊夢の奴、そういうことか・・・」
薄暗い部屋の中には一段高い場所に玉座のような物があり、そこに軽く座って居るのは紅いドレスを着た少女で背中にコウモリのような翼を生やし、青紫の髪に紅いリボンの着いた巾着のような帽子を被っていた。
その少女は扉から入ってきたムーンを品定めするように見て、静かに銀髪の少女とほぼ同じ事を言うのであった。
ムーンはまた「黒い」と言われたのを少し気にしながらも相手に対して肯定の言葉を言って、言葉を返すのであった。
そして紅い少女は自己紹介を簡単にした後にムーンが何のために来たのか分かって居るかのように言葉を言うのであったが、本人は訳がわからなかったのか、相手に対して質問した。
レミリアと名乗った少女はムーンに対して首を傾げて、やはり何をしに来たかわかってるかのように言葉を言うのであった。
ムーンは瞬時に事を理解したのか、悪態を着くように溜息をついて言葉を言うのであった。
こうなっては仕方が無い、働かざる者食うべからずという言葉もあるし、働いて見せようではないか。
そういう決心と同時にお腹も特徴のある長い音を立てて鳴るのであった。
「あら、朝食は食べてないのかしら?」
「・・・ああ、そうだ。」
「咲夜、クロワッサンが残ってなかったかしら?」
「ええ、ですが、あれは・・・」
「良いから持ってきてあげなさい。」
レミリアはムーンの腹音にクスクスと軽く微笑みながら言葉を言い、扉の近くで畏まるように立っていた銀髪のメイドに対して朝食を持ってくるように言うのであった。
其の朝食には何かあるのか多少の確執があったが、結局はレミリアの意見が通ったようであった。
命令されれば、銀髪の少女は一礼して先ほどと同じ様な事が、再び起こるのであった。
と言うのも気がつけば銀髪の少女は両手に二個クロワッサンが乗った盆を持って同じ場所に立っていた。
「さあ、咲夜はムーンをつれて早く仕事に戻
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まろやか投稿小説 Ver1.50