潜入、紅魔館!

段々と島の中央に行くに連れて霧が発生しているような気がするが気のせいだろうか・・・
まあ、局地的ではないため自然現象かも知れない。
とりあえず、目の前に見えるのは紅い建物だ。
外と隔離するための外壁から中の建物の色まで全て真っ赤だ。
レンガ造りで丈夫そうな館だ、博麗神社もなかなかの建物だが、魔術師の自分としてはこっちのほうが似合うかもしれない。
氷を渡り終えたムーンとチルノは「紅魔館」と呼ばれている建物の門に向かって堂々と歩いて居るのであった。
チルノが先頭で、ムーンは後ろから着いて行くような感じであった。
チルノは端から見ればリーダーと呼べるような感じの姿に見え、蹴られたときのような不機嫌な感じではなく、ご機嫌な様子で鼻歌を歌っているのであった。
「こんなに堂々と歩いて大丈夫なのか?」
「門番が居るけど、多分、寝てるから大丈夫よ。」
「・・・大丈夫なのか?」
「あたいを信じなさい!」
ムーンは余りにも堂々とした行動に半分、呆れながらもチルノに対して質問するのであったが、普通に自信満々に質問を返すのであった。
青年は不安なのかチルノにもう一度、念を入れるのであったが、特大の笑み共にチルノは言葉を返すのであった。
門の鉄柵が嵌められているレンガで出来た壁の部分に人の姿が見えるのだが、こっちの方を向いて居らずに下を向いているような感じであった。
「・・・本当だ」
「ほらね、あたいは天才なんだから」
「じゃあ、行くか・・・」
門の目の前まで来たが、スースーと規則正しい寝息が聞こえる。
寝ているのは極東の民族風の衣装、いわゆるチャイナドレスにハンチング帽の様な帽子を被った女性。
そして帽子には星がついており、「龍」の文字が刻まれている。
ムーンはチルノが言っていたことが本当だったことに驚きながらも、彼女を起こさないようにゆっくりと進入を心見るのであった。
セキュリティーが全くなって居ないんじゃないかと、心の中で思いながらも鉄柵の門をゆっくりと開けて中に入っていくチルノに続くのであった。
「早く!」
「・・・ああ、すまない」
入ると緑豊かな中庭が目に入った、思わず足を止めてしまって周りを見渡す。
霧のために部分的にしか見えないが、中庭は手入れされていて綺麗だ、自分もこの程度の中庭ならもと居た世界で幾らでも見たことがある。
少し懐かしさを感じて心に気を取られるも、急かすチルノの声が聞こえれば、ハッと気がついたように向き直って建物の方に小走りするようにチルノに着いていこうとするのであった。
丁度、建物の中に入った頃だろうか、門からは「ん〜」と背伸びするような声が聞こえてくるのであった。
もう少し、来るのが遅ければ門番は作動していたようである。
「・・・どの道に行く?」
「うーん、そうね、二手に分かれるのよ!あたいは地下にいくから!」
「ああ、分かった。」
館の中は見た目よりも広く暗いような気がする、メインホールとでも言うべき場所にでも居るのだろうか・・・
ムーンとチルノは二人して、中が見た目と違っていることに少し戸惑ってしまうのであった。
何か空気がひんやりと感じるのだが、それはチルノの冷気ではなく妖気みたいな何か邪悪なる者が住んでいるような気配を感じる。
ムーンは辺りを見回すが、上に行く階段がまず目に入った、少し真ん中まで移動すれば、その上に行く階段の下に地下に行く階段も確認できた。
結局、チルノに指示を仰ぐことにしたが余りにも適当で、幻想郷に住んでいる本人も、この紅魔館の構造が分かっていないようであった。
ムーンは半ば大丈夫かと思いながらも、チルノと別れら
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まろやか投稿小説 Ver1.50