初めての晩餐

「ほー、なるほど、術を使って気がついたら此処に居たという事ですね?」
「ああ、そういうことになるな。」
「今日は何をされましたか?」
「魔理沙に連れられてアリスとポーカーをやっただけだ。」
「結果はどうでした?」
「勝った。」
「それで何かありまし・・・」
天狗のような風貌の少女、射命丸はメモを取りながらもムーンと話を続けているのであった。
ムーンの方は面倒そうにしつこく聞いてくる射命丸に対して相づちを打つのみであった。
射命丸の質問、ムーンの短い答えで会話が繰り返されると思っていた矢先に射命丸は言葉を中断した。
「霊夢ぅ〜・・・あー、お前!」
「お前じゃない、それに指を向けるな。俺はシャドウ・ムーンだ。」
「・・・伊吹萃香(いぶきすいか)」
その理由はムーンが入ってきた場所の襖が開いて先ほど境内で足止めしていた少女が、乱入してくるのであった。
ムーンに質問していた射命丸は突然の乱入者に途中で言葉を止めてしまったのだ。
乱入してきた鬼の少女は扉を開けてムーンを目にするや否や、失礼にも指をさして声を出すのであったが、ムーンはフウと息をついて少女の態度をたしなめるように言葉を言いながら名を名乗るのであった。
少女の方は不本意ながらも拗ねたような感じでムーンに対して名乗るのであった。
鬼の少女、萃香はフラフラしながらも霊夢が座っていたであろう座布団の方に向かってゆっくりと腰を下ろすのであった。
「霊夢ぅ〜ご飯はぁ〜?」
「はいはい、ちょっと待って・・・」
萃香は座布団に座りながら持っているヒョウタンを煽ったあとに酔っ払いのように喚くのであった、そして襖の奥からは霊夢のなだめるような声が聞こえる。
「あー、そうでした、それで何かありましたか?」
「魔理沙がアリスの持ち物をゲットしたらしい。」
「ほー、それは何でしたか?」
「本だ。」
話を聞いていた少女は思い出したようにムーンに向かって再び質問をするのであった。
ムーンはまた始まったと思いながら面倒そうに質問を答えるだけであった。
物を詮索されるのは余り好きではない、心の中で射命丸の行動を、五月蠅く鬱陶しい物と思っていた。
何とかこの状況を脱せ無い物かと思ったが、逃げることも出来ないだろう。
「できたわよー。」
「おおー!」
そんなことを思っていた矢先に土間の方から声が聞こえて、霊夢が襖をあげて鍋の恐らくは囲炉裏にぶら下げるための要の部分を、ミトンで持ちながら用いて持ってくるのであった。
萃香は出てくる霊夢を迎えいれるように歓声をあげるのであった。
射命丸も気を取られているのか其方の方を向くのであった。
今日は鍋パーティーという訳か、って確か東洋では箸を使うんだったか、あんまり、慣れてない。
霊夢から箸と皿を渡されるが、ぎこちない感じで箸を操る。
囲炉裏を書こう4人、失われた日本の風景とでも言うべきだろうか・・・
皆で手を合わせた後に早速、鍋を食してみるが、なかなか美味い、塩味が微かに感じられるこの調味料は何だろうか。
野菜だけで質素だが、まあ、この辺は文句を言っても仕方ない。
余り食べたことはない、慣れない箸の持ち方に戸惑いながらも、3人と同じように鍋をつつくのであった。
「あ、ムーン、言うのを忘れてたけど、貴方の居候できる場所を探しておいたわ」
「あ、すまない、礼を言う。」
「それなら、シャドウさんには潜入記者になって貰いましょうかね?」
「え?どういうことだ?」
「その場所で起こったことを報告して貰うだけですよ。」
鍋をつついている最中の事、霊夢はムーンに対して突然に言葉を掛けてくるのであった。

[3]次へ
[7]TOP [9]目次

まろやか投稿小説 Ver1.50