それぞれのクラスへ

水白高の校舎へと足を踏み入れる4人。
学校は学校、当事者以外からはその言葉で片付けてしまわれそうであるが、今まで通っていた中学の校舎とは明らかに違う匂い。
多分時間が経つにつれたいして気にならなくなってしまうのだろうが、それでも「新しい空気」をその身に感じていた4人___

「俺何組?何組?」
「お兄ちゃん邪魔ーーーっ!!無駄にでかい図体が邪魔でボードが見えないよぅ」
「どきなさいよこのトウヘンボク、明彦に任せてたら見つけるのに5分はかかるわ!」

「・・・・・・」

___訂正、4人はそれどころではなかった。
クラス分けの名簿が張り出されたホワイトボードに、自分のクラスは何処なのか我先にと勇み出た3人。出遅れた弘樹は、入り込むタイミングを完全に見逃していた。

「おっしゃ、俺様はっけーん♪ B組かー。B組っていやぁアレだよな、うんうん」
「何一人で自己完結してるのよ。まずは私の探しなさい! ホラ、弘樹もそんなところに突っ立ってないで一緒に探してよ」
「・・・いや、さすがに前みたいな事は無いと思うからそんなに焦らなくても」
「ほえ? ひろぽんとあかりん、何かあったの?」
「・・・えーとね、合格発表の時にあかりの名前だけ手違いで書き漏れてたんだよ」

「今度も名前無かったら訴えてやるんだから!!」

「あちゃー、あかりん可哀想にねー」
「お前、人の事言ってる場合じゃねぇぞ。・・・なんか由佳の名前だけ見当たらねぇんだよな」

「ふえ?」

明彦の言葉で由佳は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。

「あ、私のみっーけ♪ 弘樹のも。明彦と同じでB組ね」
「・・・本当だ。3人同じクラスかぁ」

「え・・・ええ? 由佳は? 由佳はどこー!?」
「うーむ、背丈に比例して文字もマイクロサイズで書いてるんじゃねえかきっと」
「お兄ちゃん、ぶっとばすぞー♪」

「明彦みたいなアホでも受かるんだから、あんまり変わらないレベルの由佳が載ってないわけないわよね」
「あかりん酷いっ!由佳すっごい傷付いた!」
「なぁ弘樹よ、・・・誰か俺様に優しい言葉をかけてくれる女子はいないものかね」
「・・・少なくともこの2人にそんな期待はしない方がいいと思う」

一通り目を通したのち、あかりはもう一度A組から順に探し始めていた。
単に見落としてるのか、それとも・・・以前自分が遭った例外的なパターンに
陥ってないだろうか。そう思いながら彼女はふと欄の外に目を向けてみた。

「あった、あったわよ由佳。ほら、A組の欄の脇の方」
「あ、ホントだー・・・でもなんで由佳だけサインペンで殴り書きなの?」

「・・・何かしら、このデジャビュ」
「・・・間違った名前に横線引いて、その隣に殴り書き・・・・何か何処かで見た事あるねコレ・・・気のせい、じゃないよね」


「それよりもっ」
由佳がおもむろに叫んだ。


「なんで由佳だけ仲間はずれなのーーーーーーーっっ!!?」


「ふっふっふ、これが神の下した運命というヤツだ、我が妹よ!」
「うわーん、神さま・・・あんたは今から由佳の敵だァ!!」
「うわぁ・・・この子クラス分けで神様に喧嘩売ってるわ」
「もうこーなったら! お兄ちゃん殺す! お兄ちゃん殺して由佳はお兄ちゃんと入れ替わるッ!!」
「神様、俺クラス分けで妹に殺害宣言されましたっ!!」
「・・・はぁ、何とかなるように神様に祈ってあげるから落ち着いて、みんな」
「祈るってどうするのよ?」
「・・・神様、テラモエス、テラモエ___」
「ひろぽん、それ祈りの言葉じゃないからっ!っていうかそんな言葉連呼してた
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