#39.Lady Blader III -Reckless battle-

「READY――GO!!」
 戦いのゴングが鳴ると同時に、ヴィエルジュはオーバードブーストを起動、ヴァージニティーとの距離を詰め、同時にショットガンを連射しつつ接近する。
 予想通りと呟き、対戦相手の接近を探知したヴァージニティーも反撃に転じる。手にしたロングレンジライフルを連射し、ヴィエルジュの薄い装甲を穿つ。急加速の熱が冷め切らないうちに銃撃された事で、機体温度を示すメーターが一気に跳ね上がるが、最早気にするに値せず。そのままショットガンで反撃し、ヴァージニティーの右手側から剣戟を狙ったが、ヴァージニティーが左手側にステップしたためにタイミングが合わず、空振り。
 即座にターンブースターも交えて急旋回し、がら空きの所を突こうとしたが、ヴァージニティーは今度は右手側に跳んで射線から逃れている。まだ即背を狙えるだろうと判断し、再びターンブースターを吹かす。
 ヴァージニティーの脚部は性能バランス重視のMLM-MM/ORDER、一方ヴィエルジュの脚部は積載量・重量が少なく、それ故中量級2脚の中では機動性が高いMLM-MX/066。ブースターは両機とも出力重視のCBT-FLEET。機動性で見るならば、重量が軽い分、若干ではあるがヴィエルジュが有利であった。
 ところがヴィエルジュの正面にあったのは、既に向き直ってライフルを発砲しかかったヴァージニティーの姿であった。とてもMLM-MM/ORDERの旋回性能とは思えないが、アストライアーも負けじとショットガンで反撃、致命傷には至らずとも散弾全部を直撃させる。何発か撃たれ、熱暴走する機体と共にボディ表面から汗――冷却水が滲み出るアストライアーだが、続けざまに散弾をぶち込んでヴァージニティーを突き放しに掛かる。このまま撃ち合えばダメージレースで勝てる所であった。
 直美もそれは分かっているようで、すぐにオーバードブーストで離脱。すぐにアストライアーは追撃に入る。
 ヴァージニティーの武装はミドルレンジライフルMWG-RF/220、支給されるACに装備されヴィエルジュにも搭載されている単発発射式の小型ミサイルCWM-S40-1、4発動時発射式の連動ミサイルCWEM-R20、そしてヴィエルジュと同じムーンライト。ブレードは兎も角として、ACの武装の中ではベーシックな物がそろっている。武装のバランスは取れているものの、言い返せば際立った能力に乏しいのも確かであった。
 そして、この手の汎用型機体は性能特化型に押し切られたり、振り回されたりする事も珍しくはない事をアストライアーは感じていた。とは言え直美もそれは同じであろうと考えたのだが、その間にもヴァージニティーは離脱を図った。ライフルを連射してヴィエルジュを足止めに掛かりながら。
 勿論アストライアーとしては逃がす心算はない。すぐにオーバードブーストボタンをパンチし、牽制用の小型ミサイルを繰り出す。このまま、自分が最も得意とする、機動性を活かした格闘戦に持ちこめば勝機はあると確信しているが、その前に当てられるものは当ててダメージを稼ぐ事とする。
 もしかしたら、相手に一発剣戟を食らわせる位は出来るかも知れない。
 ミサイルを1発放った直後、オーバードブーストが唸りを上げた。
 すかさず武器をショットガンに戻し、アストライアーはオーバードブーストでヴァージニティーとの距離を一気に詰め、更にショットガンも放つ。ミサイルはあっさりと回避されるも、スピード勝負ではヴィエルジュが勝っており、ライフルを多少撃たれはしたがダメージを釣り上げながらの肉薄には成功、即座にブレード
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まろやか投稿小説 Ver1.50