#10:バグ・ハンティング -アミダ・アタック-

のYC07-CRONOSを凌ぐ軽量級コア屈指の防御性を獲得している。各種中量級コアと比較すれば流石に防御面ではいまひとつ及ばないものの、マシンガン程度ですぐに木っ端微塵にされるような脆弱さはない。その他の性能も、ナービス戦争時代や24時間戦争時代とは、比較にならないほどに強化・改善されていたのだった。
 事実、溶解液や火炎弾を避けるためにビルの上でジャンプを繰り返すブレイザー機のEOは、百発百中には程遠いながらも、遠距離に逃げていたドラグーンフライすらその優れた弾速で捉え、撃墜している。そのコアの活躍もあってか、ドラグーンフライは殆どが撃墜され、残っていた3機はスロットル全開で敗走した。
「いい判断だと思うよ」
「有難う御座います」
 アイザックスとしては、優先順位をしっかり定め、迷わず厄介な増援だけを叩く戦術展開は評価したい所だった。単に腕だけで見ればクオレに軍配が上がるだろうが、彼女の頭の回転が良い所は彼も一目置いていたためである。
「よし、カトンボは駆逐! こいつ等に戻る!」
 ブレイザーはビルから飛び降り、諦観者達になってしまっていたアミダの集団目掛けて攻撃を再開。横跳びで溶解液を回避しながら、ロケットで装甲強化種を叩き潰し、EOで原種や火炎放射種を打ちのめす。
「今更という気がしないでもないですが……」
 アミダ飛行種をマシンガンで撃ち落し、ディアマントが呟く。
「あんなにエネルギー兵器を連射して大丈夫なんでしょうか?」
「大丈夫じゃねぇの?」
 答えたのはクオレだった。
「ナービス戦争時代は産廃みてぇな扱いだったらしいけど、今は発射に要するエネルギーがかなり改善されているからな」
「いえ、それ以上に重量にエネルギー関係と、足を引っ張る要素も多いのではと思って……」
 その心配はないだろうとハインラインが口を挟む。
「重量については、YC07-CRONOSに“威力と引き換えに弾速と連射性能が強化されたパルスガン”か、リベリオン当たりが乗っていると考えれば軽いものですよ。エネルギー関係も稼働時消費エネルギーが同等レベルのMCL-SS/RAYが一線級である事を考えれば同じ事」
 そんな訳で、YC07-CRONOSと比較して重量が嵩んでいるものの、ハインラインもクオレもさほど問題視はしていなかったのだった。勿論、EOの状態や、パイロットの運用思想ならびに技量などは別問題としてだが。
 だが、ブレイザー機はクオレが見た限りでも、先程から頻繁にEOを起動して敵と戦っている。それを考えるに及び、懸念事項が付き纏っていた。
「ブレイザー、EO切れるぞ!」
 クオレの言うとおりだった。ブレイザー機のEOは既に装填弾数が底を突きかけていた。
 だが、ブレイザーはEOを収納すると、何事も無かったかのようにハンドガンで原種を銃撃して自爆を誘発、爆心地周辺の他個体を数匹纏めて吹き飛ばした。
「たかがEOひとつが息切れしただけだ、機体には何ら問題はない!」
 浮き足立つ様子もなく、ブレイザーは的確なハンドガン射撃で原種を撃ち抜き、自爆を誘発した。アイザックスはその周辺の火炎放射種を排除してサポートに努める。
「ブレイザー、大丈夫でしょうか?」
 新たに迫ってきた2匹の火炎放射種をマシンガンで攻撃しながら、ディアマントはブレイザー機へと目をやる。
「マシンガン2丁で突貫の俺と違って、ブレイザーは中々器用だ。早々ポカはしねぇだろうよ」
 これもまたクオレの言うとおりだった。
 ブレイザーは軽量ながら多彩な攻撃手段を持っているが、普段は実質弾数無制限のEOを主力兵器に
[2]前へ|[3]次へ
ページ移動[1..7 8 9 10 11 12..15]
[7]TOP [9]目次

まろやか投稿小説 Ver1.50