#10:バグ・ハンティング -アミダ・アタック-

たが、他のアミダが火炎弾と溶解液を彼の機目掛けて飛ばし出したため、回避に専念する。火炎弾と溶解液が機を掠めた時には冷や汗が背筋を伝ったが、ディアマントがリーサルドラグーンで援護射撃し、彼を狙っていた怪蟲を始末した事で危機を脱した。
「またも助かったぜ。危ねぇとこだったわ」
「いえいえ」
 営業スマイルをクオレに向け、ディアマントは武器をミサイルポッドに切り替え、原種目掛けて高機動小型ミサイル「ストーカー」を発射した。
 高機動小型ミサイルとはいえ、元来はAC用肩武装・WB12M-EMPUSA用のミサイルだったもので、現在はAC用小型ミサイルポッド――支給されるACに付属するCWM-S40-1等の小型ミサイルランチャーや、3連装ミサイルCWM-TR90-1、ミサイルランチャー型武器腕CAW-DS48-01は勿論、ACB用ミサイルポッドにも装填可能になっている。ノズルの改良や誘導装置の強化に伴って1発200cになってしまい、1発120cする通常の小型ミサイルにも増して使うにはコストの掛かる難モノであるが、優れた誘導性により高機動の空戦型機械兵をも容易く捕らえるため、信頼性は非常に高い。
 そのミサイルが、ブレイザー機が繰り出した通常型の小型ミサイルと共に装甲強化種に突き刺さった。連射火器を容易く耐える外骨格だが、しかしミサイルを防ぐのには役に立たず、頭部を吹き飛ばされた装甲強化種は抗いようもなく瓦礫の山の上に転がった。
 その隙に、飛行種はハンター達の頭上から溶解液をばら撒き始めた。
「こんの、クソ蟲野郎ッ!」
 罵声と共に、クオレはブリューナクを拡散モードに切り替えて頭上へと連射。アミダ飛行種を次々に叩き落とし、絶命させるに至らなかったものも地面に落とした。翅をもがれた飛行種は、ブレイザー機のEOによって始末されたため、アイザックスとディアマントは地上の個体を集中的に狙う事が出来た。
「まだ鬱陶しいのがいやがる……」
 クオレは頭上にブリューナクを向けたまま、回避行動で降り注ぐ溶解液を避ける。飛沫が手足に掛かるが、フォースフィールドに防がれているため、まだそれほど損傷は大きくならずに済んでいた。そして拡散ビームで反撃し、敵の頭数を更に削ぐ。
「俺は頭上のこいつらを落とす。姉ちゃん、地上は任すからな。気をつけろとは言わねぇから、さっさとやってくれ」
「はい」
 了解したディアマントは、溶解液を避けながらクオレ機と入れ替わりで前に進み出ると、近くに這い寄っていた火炎放射種の火吹き攻撃を横跳びで回避。マシンガンで反撃して、撃破スコアを更に伸ばした。
 それなりに有能な仲間を得ているディアマントことアリア=ローウェルだが、しかし彼女はイースト・バビロンの実業家の娘と言う、他の3人と比較すると圧倒的に高い身分の出自である。そんな彼女がイェーガーとなった背景には、両親が経営するレストランとそのチェーン店を人類種の外敵から守るという、身内としての責任感に基づいての志願があったのだった。
 イェーガーとは言え、ディアマントの性格は生真面目かつ極めて温厚で、しかも愛情深い女性であり、弟タンザナイトとの関係も良好。そのため、アイザックスを初めとする周辺ハンターからの評判は非常に良かったのである。
 ブレイザーを初めとした周辺の人間からは愛すべきイェーガーとして敬意と萌えを一身に集め、ハンターながらも面倒見の良い優しい女性の印象を振りまいている彼女だが、クオレにだけは眉を顰めることが多かった。何故ならクオレの暴言――特にジナイーダを前にした時の口の汚さは、育ちの良い彼女
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まろやか投稿小説 Ver1.50