#10:バグ・ハンティング -アミダ・アタック-

デカイだけの姉ちゃんに関心なんざ抱けるか」
 臆面も何もなく、クオレはディアマントへの好意をあっさりと否定した。だが仕方ない、元々彼は恋愛沙汰に対しては全く関心が無いからだ。仮にあったとしても、今はそれに現を抜かすような時ではないと心得ている。
「お前……それがアリアさんの前で言うセリフか?」
 一方、ディアマントに萌えと愛慕の念を抱くブレイザーは彼女を卑下されたと見てなおも噛み付いてきた。そんな彼を、クオレは「知るか!」と一蹴する。
「あのですね、2人とも」
 年下の若者2名を見かねて、ムッとした口調でディアマントが発した。
「今はつまらない言い争いをしている場合じゃないと思うのですが?」
 口調はやんわりとして落ち着いているが、目は笑っていない。見るからに機嫌を損ねたとクオレには分かったが。
「……悪ぃ」
 一応詫びるクオレだが、その胸中ではブレイザーへの罵倒が続いていた。
(……ブレイザー、クソジナ潰したら覚えとけテメェ)
 一方、好意を抱いている相手を怒らせてしまった事でブレイザーの顔面からは血の気が引いていた。
「すみませんでしたッ!!」
 ブレイザーは深々と頭を下げた。
「当たり前だろ、バカ。大体、テメェが余計に突っ掛かったせいで事がややこしくなったんだろうに」
「クオレ、口悪いですよ」
「姉ちゃんは細かい事に拘りすぎなんだよ!」
 歯に衣着せぬ物言いの刹那、クオレはレーダーコンソールにちらりと目をやった。そしてブレイザーが反応する間もないうちに機を旋回させ、連射モードに切り替えていたブリューナクを路地裏目掛けて発砲した。
 光線照射の直後、凄まじい咆哮に続き、クオレ機前方を這っていたであろう5メートルクラスのグラトンワームが路地裏より飛び出してきた。しかし前方は既に短照射型ビームの連射で焼けた状態になっており、露出していた外顎も千切れ、反撃も叶わずにクオレ機のハードフィストで頭を叩き潰された。
 その1匹に続き、新たに2匹のグラトンワームが這い出して来た。サイズは先程の個体よりも一回り大きく、両者とも優に7〜8メートルはありそうだった。
「クオレ! ブレイザー! 無駄話している場合じゃないぞ!」
 アイザックスからの叱りでブレイザーもメインモニターに向き直り、次いでレーダーコンソールに目を落とした。
 西からは新たなアミダが接近しているとブレイザーには分かったが、既にカニス・マヨルがレーザーガンで仕留めに掛かっている。
「クソッ、もう和解とかしてる場合じゃねぇ!」
 クオレはハードフィストでグラトンワームに殴りかかった。最初の1発は外顎と歯の何本かをへ折り、続く1発は金属杭が頭部を刺し貫き、次の一撃を打ち込まれると巨大ミミズの頭部は完全崩壊、続くブランネージュからの冷凍弾により、動きは完全に止められた。
 もう1体はブレイザー機に襲い掛かったが、EOとハンドガンの連射によって制圧された。
「3人とも手伝ってくれ!」
 カニス・マヨルは新たに姿を見せたアミダの群れへとリベリオンを向け、切れ目のない蒼白いレーザーを照射していた。
 このアミダの群れは、原種以外にも火炎放射種、24時間戦争の最中に出現した飛行種、更に灰褐色の堅固な外骨格を持ち、体格も一回り大きい装甲強化種で構成されていた。
 クオレ機のブリューナクと、ブレイザー機のEOもすぐさま掃討に加わった。通常のアミダはこれで容易く倒せるが、装甲強化種は連射モードのブリューナクも、EOの連射も苦にしなかった。
 ならばと集束モードに切り替え、エネルギーをチャージしようとしたクオレだっ
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