#10:バグ・ハンティング -アミダ・アタック-

れ、弾薬口径こそ小さいものの30発と榴弾投射系武器では破格の携行弾数を有するグレネードライフルCWGG-GRS-30が接続されている。
 ただ、このグレネードライフルに重量を取られている中で装備のバランスを意識したのだろう、支給されるACのそれと同じ小型ミサイルポッドCWM-S40-1、最大携行弾数50発の小型ロケット砲CWR-S50を軽量化――と言うよりは、CR-WB69ROの型番だけを変えたと言った風情のCWR-S30が積載されていた。元軽量級2脚であるためか、最大積載量が中量2脚としては少なめであるMLM-MX/EDGEで攻撃バリエーションを求める場合、軽量の火器で固めるしかなかったのである。
 そんなブレイザーのACには名前が付けられていない。これは操縦者自身が、ACはジナイーダへの復讐の為の道具としか考えていないためで、壊れてしまえばそれまでの消耗品も同然の機体に、名前を付ける事は面倒臭い上に無意味であると写っていたのだ。
「それより、手伝ってくれ!」
「分かった」
 そのつもりで来たんだと、アイザックスは愛機を上昇させ、リーサルドラグーンをアミダの群れの真ん中目掛けて発射。接地と共に爆ぜた榴弾は液体窒素を盛大にぶちまけ、一気に複数の個体を凍死に追いやる。
 クオレは地上で回避運動を交えながら、連射モードのブリューナクで1匹ずつ確実に打ち砕いていく。
 追いついたディアマントも、群れの様子を見ると纏めて倒したほうが最善と判断し、ジャンプからのリーサルドラグーン射撃で密集したアミダを纏めて仕留める。孤立した個体は、右腕のマシンガンで蜂の巣に仕立てていく。アミダからの火炎弾や溶解液噴射は、見る間にその数と頻度を減らしていき、全てが沈黙するまではさほど時間は掛からなかった。
「ざっとこんなもんか」
 全滅したアミダの亡骸を一通り見渡してから、クオレは通信モニターに目を落とした。
「ハインライン、南の交差点の救助活動はどうなってんだ?」
「ハンター・イェーガー計10機体制の護衛の下で進行されています。先程、瓦礫の中から手が出たとの連絡を受けました」
 このまま首尾よく救助出来れば良いのですがと、ハインラインの顔が愁いを帯びる。
「どうする? 救助活動の手伝いか何かに行った方がいいか?」
 ただ外敵を潰して回っているだけでは何となくばつが悪いと見てクオレは提案したのだが、ハインラインは、大丈夫だろうと返す。
「ハンターがあまりに集中し過ぎても、逆に救助隊員の身動きが取れなくなったり、救急車が現場に入れない可能性があります」
「仕事に戻った方が利口ってか」
 ハナっからその心算ではいたけどなと呟くと、クオレは視線をメインモニターに戻した。視界内で動く怪物の姿はなかった。
「と言うか、お前……」
 ハインラインに代わってブレイザーが通信モニターに現れた。
「アリアさんにヘンな真似してないだろうな?」
 クオレは溜息をついた。ブレイザーは腕は確かで、クオレとしてもそれは認める所であるのだが、ディアマント――本名で言えばアリア=ローウェルが絡むとクオレには排他的になるのだ。似たようなACを駆り、似たような生い立ちと思考回路を持っているが故に、強く意識されているらしいとは聞いた覚えがあるが、それにしても何で自分に突っ掛かるのかが解せなかった。
「安心しろ、その気はねぇ。寧ろテメェの萌えの対象を守ってやってるんだから、多少は感謝してもらいたいぐらいだ」
「どこに行っても口の減らないヤツだな」
 ブレイザーがなおも突っ掛かってきた。
「大体、胸と背が必要以上に
[2]前へ|[3]次へ
ページ移動[3 4 5 6 7 8..15]
[7]TOP [9]目次

まろやか投稿小説 Ver1.50