#10:バグ・ハンティング -アミダ・アタック-

単独ではなく3匹が集まっているものだと、ディアマントとクオレには分かった。
 ディアマントはいつの間にか拾い直していたリーサルドラグーンを即座に発泡、液体窒素弾頭を火炎放射アミダに直撃させた。ばら撒かれた液体窒素をもろに浴びたアミダは足を縮こまらせ、断末魔を上げる間も許されないまま全身を凍傷させて動かなくなっていた。最後尾の1匹はまだ蠢いていたが、音を立てて凍て付いた仲間の亡骸を砕き、程なくしてその後追いとなった。高性能爆薬搭載の榴弾に比べて破壊力こそ大きく劣る冷凍弾だが、モンスターへの効果は絶大だ。
「エグいですが、まあ仕方ありませんね」
 倒した相手を一瞥する事もなく、また冷や汗や恐怖も滲ませる事なくディアマントは先を急いだ。
「行きましょう。アレの同類が市民を襲わない保障はありません」
 異議なしと、クオレとアイザックスも後を追う。
「アミダの進行先、君達から約1キロ南の交差点周辺で生き埋めとなった市民の救出活動が開始されています。既に他のハンターが交戦、進行を何とか食い止めていますが……」
「いい加減駆除しないとヤバいな」
 クオレはオーバードブーストを起動、我先にと現場に急いだ。カニス・マヨルもオーバードブーストで急行するが、そうなると機種の関係上、オーバードブーストを装備していないブランネージュはどうしても後手に回ってしまう。
 だが、それでも人類の敵を放置していい理由にはならないと自分に言い聞かせ、ディアマントも可能な限りのスピードで愛機を急がせた。
 幸いにも、アミダの群れにはすぐに遭遇出来た。機械生命体襲来によって新地となったオフィス街の一区画を、通路や倒壊したビルの差別なく集団で這いずり回っている。その行く先で、グラッジパペットに酷似したACが火炎弾や溶解液を横跳びと飛び退きで回避しながらロケットとEOを乱射。突出した個体から順に吹き飛ばしていた。
「何だ、ブレイザーまで来てたのか……」
 自分なりの個性をACに求める傾向にあるAC乗りの常で、普通なら自分と酷似したACには敏感に反応するクオレであったが、すでに眼前のACの正体は分かっていたので、小さく呟きはしたが、特別何も感じなかった。
「クオレ2号が既に戦ってたか」
 アイザックスも正体に気付いていた。
「名前で呼んでくれよオイ!」
「ああ、気を悪くしてごめん」
 あっさりと謝ったアイザックスからクオレ2号と呼ばれてしまったブレイザーだが、それも無理はない所だった。何故なら彼は、クオレ同様にACを駆り、やはりクオレ同様家族全員――両親と4歳年下の妹をジナイーダに殺され、さらに同じく強化人間となった身分だからである。ただし、彼はクオレとは違い口汚い言動はなかった。
 更に言えば、その搭乗ACにも類似性が見て取れる。防御性能に不安を残すも生体センサーをはじめマップ機能や多彩な機能を持つレーダーで評価の高いMHD-MM/004を頭部に、ナービス戦争時代以前から既に“産廃”や“役立たず”などの不名誉なレッテルを貼られていた軽量級EOコアMCL-SS/ORCA以外は、グラッジパペットと同じフレームなのである。エクステンションはKWEL-SILENTではなくCWEM-AS40となっていたが、難のあるミサイルカウンターを補っていると言う点は同じだ。
 しかし武装の点は似ても似つかず、右腕には旧型番のWH09H-WRAITH時代よりAC用搭載射撃武器中最軽量を堅持しハンドガンにしては連射性能にも優れるMWG-HGH/WRATHが、左腕には前モデルであるCR-WR88G2より弾数が6発増量さ
[2]前へ|[3]次へ
ページ移動[1 2 3 4 5 6..15]
[7]TOP [9]目次

まろやか投稿小説 Ver1.50