#10:バグ・ハンティング -アミダ・アタック-

方機反応が迫り、程なくしてハンター達の視界に3機のサイクロプスを登場させた。3機のカラーリングや装備、損傷状態は三者三様だ。銀地に青いラインが入った機はミサイルランチャーを、黄色と黒に塗り分けられた機は短砲身のキャノンを、白地に紫のラインが入った機はロケットランチャーを装備しているが、3機ともリベリオンしか使っていない。
 3機の先では、アミダ火炎放射種と装甲強化種がリベリオンに焼かれながらも迫っていたが、その中にはノミのように跳ね、蒼白い光線を逸らしながら黄色いビームを撃っている“光線種”も混ざっていた。
「お前等も手伝ってくれ! リベリオン以外が弾切れして、俺達の機ではこいつ等を殲滅できん!」
 3機の中の誰かだろう、金髪碧眼の青年が通信モニター越しに加勢を求めて来た。
「はいよ!」
 クオレは二つ返事で、集束モードに設定したブリューナクを構え、今回は溜めなしで発射した。装甲強化種がビームで頭を射抜かれ、地面に転がる。
 ブレイザー機もEOを起動し、にじり寄って来るアミダを手近な物から片っ端から打ち倒す。ブランネージュのミサイルとカニス・マヨルのリベリオンも続く。
 火炎放射種と、いくらか混ざっていた原種はこれで容易く駆逐できたものの、問題は光線種だった。
 スティンガーに限らず、現行のACBにもAC同様、火器管制装置には未来位置演算ソフトウェアと、それにより実現した予測照準システムが搭載されている。兵器が射撃を行う上では、相手の現在位置ではなく、先に移動する位置を狙わなければ効果はない。歴代の撃墜王や名射手と呼ばれる者達は皆、そうして相手の位置を読む事で射撃の成果をより確固たるものとしており、AC搭載用のFCSは例外なく、そうした撃墜王の技術を高度なソフトウェアによって再現する事で、個々のACを高度な戦闘兵器たらしめていた。
 それに対抗するために、未来位置算出を逆手に取った切り返しによる回避も発達しているが、この光線種の動きは、それを生み出したキサラギが意図しているかどうかは別として、ジャンプによって予測照準のブレによる射撃ミスを誘っている。そして、そのジャンプから、スティンガーにとっては痛手になるレーザーを断続的に放っているのだ。
 ディアマントとブレイザーはこれに対し、それぞれがマシンガンとEOで弾幕を張って対抗する。だがこれでアミダ光線種は確かに倒せるものの、都市部で戦っている以上、周辺建造物への流れ弾も無視出来ない。幸いにしてこの区画の市民は多くが避難完了しているが、もしこれがまだ避難完了していない時だったなら人的被害は免れ得ない。
 クオレとアイザックスはその辺りも承知しており、2人はジャンプ中は無理に光線種を狙わず、着地際をブリュ―ナクとリベリオンで狙い撃ちにし、誤射と周辺への被害を抑える方法を取った。身体を跳躍させるためか、光線種は原種のアミダに比べて軽く素早いが、半面外骨格は脆弱であり、まともに命中さえすれば仕留めるのは容易い事だった。
「あなた達はインファシティ基地へ!」
「無理はするな!」
 残っていた火炎放射種を銃撃しながら、ディアマントとアイザックスは名も知らぬ味方機に離脱を促す。クオレは光線種撃破に、ブレイザーは火炎放射種の殲滅に専念している。
「すまん!」
「後は頼む!」
 被撃破を逃れたサイクロプス3機は急ぎ離脱していった。
 3期の反応が全員のレーダー範囲上から消えた頃には、大量に群がっていたアミダ達は全て、路上に散らばる焦げた肉片と成り果てていた。その向こうにはコンクリートと大破した自家用車や鉄筋等の混ざ
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まろやか投稿小説 Ver1.50