#10:バグ・ハンティング -アミダ・アタック-

戦うという、少々風変わりな戦闘スタイルを有している。ハンドガンはEOがエネルギーを使い果たし、再度使用可能になるまでの繋ぎや牽制、迎撃などに使い、固い相手はロケットやグレネードライフルで撃破、飛行型機械兵などの俊敏な相手はミサイルで迎撃と、各種の武装は用途を絞り込んでおり、それらを相手に応じて巧みに使い分ける。
 悪く言えば器用貧乏でしかないブレイザーだが、反面武装に対する柔軟性は高く、相手を選ばず戦う事が出来る強みも持ち合わせていたのだった。この点、弾幕や連射で押し切る戦いに終始する傾向にあるクオレとは対照的だ。
 ただしその代わり、攻撃バリエーション以外は傑出した点がないため、特化型の相手に対してはその器用貧乏振りが仇になるのも事実であった。実際、この時点でブレイザー機はドラグーンフライによって上半身の装甲が随所で穿たれ、削られている。
 更に、ナービス戦争や24時間戦争から消費エネルギーが軽減されているとは言え、エネルギー兵器であるEOが主力である関係上、エネルギーを使用する行動に若干制限が出ているのも確かだった。EOの内臓エネルギー回復により、本体ジェネレーターの余剰出力が若干喰われており、溶解液や火炎弾の直撃こそ免れるものの、掠めたり飛沫や爆炎が触れ、バルカンにコアや上腕部の装甲を穿たれたりで、冷や汗を垂らしたのも一度や二度ではない。
 それでもブレイザーは立ち回る。1分半に及ぶ回避行動と充電期間を経て、EOの内臓エネルギーが最大値まで達するや、再びEOを起動してアミダを片っ端から叩き潰す。攻撃面が完全に復活したブレイザー機によってアミダが全滅するまで、最早時間は殆ど要さなかった。
「よし、一丁あがり」
 群れの壊滅を確認し、ブレイザーはEOをコアに戻して一息つく。
 一方、アイザックスは路地裏に向けてリベリオンを照射していた。レーザーの先では、火炎放射種が足を千切られ、同様の仕打ちを受けた後続の仲間と共にのた打ち回っていたが、程なくして動きを止めた。ブランネージュのマシンガンがそれに加わったので、視線の先に残っていた他のアミダもそれほど長くは生きられなかった。
「それにしてもこのアミダの数は何なんだ……?」
 いくら殺してものべつ幕なしに襲い掛かってくるキサラギ産モンスターに、アイザックスも手を焼き始めていた。
「全く、アミダばかり出て来やがって……」
 余りにもナービス戦争および24時間戦争時代の産物が跳梁している現状に、段々クオレはイライラして来た。
「ここはアミダの養殖場か何かか!?」
 口調から察するに、ブレイザーも同じ様な精神状態だったようである。
 それでも職務放棄する訳には行かないハンター達は、誰が言い出すまでもなく、インファシティを粛々と進み出した。
「やはり、インファシティ地下で大量発生していた可能性が疑われます」
 ハインラインが呟く。
「俺も怪しいとは思ってたんだよ。レイヴンやら機械生命体やらが襲撃して忘れがちだったけど、3月下旬ぐらいから、下水道で化け物を見たって証言が相次いでたんだからな」
 事情を知っているだけに、クオレはオペレーターの推測を否定しなかった。本来ならその駆除が行われる所だったが、レイヴンやジナイーダのせいでそれが遂に実施されなかった事を考えると、やはりというべきか怒りのベクトルはジナイーダへと向くのだった。
「あんのド畜生のクソ女とクソレイヴンどもがいなけりゃ……今頃はこんなゲテモノ相手なんざせずに済んだ所だったのによ!」
「全くだ。全部あのゴミナントのせいだな」
 クオレから発せられる罵り
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