#10:バグ・ハンティング -地獄で同業者-

オレか……」
 バレットライフが、バレットストーカー達を新たな獲物と見なし、空中よりマイクロミサイルを放ったのは、その直後の事だった。
「少しの辛抱だ」
 スティンガーが左右に避け、紺と白のスティンガーがドラグーンフライと交戦する中、白い迷彩の4脚はマイクロミサイル群を容易く回避してみせると、右肩に背負ったリニアガンCWC-LIC-100をバレットライフに向け、間髪入れずに発砲した。たて続けに繰り出された3発の砲弾は、スティンガーを追いかけていたバレットライフのコア後部に直撃。36年前の機体を忠実に再現した為にフォースフィールドがない機体はブースターを破壊される。
 ブースターを壊され、バレットライフは着地した。そして、今度はバレットストーカーに狙いを定め、速力が著しく落ちながらも接近しながらチェインガンを撃ち出した。
 バレットストーカーは即座にオーバードブーストを起動、チェインガンの有効射程より逃れた。
「タンザナイト、お前は下がった方がいい」
 まだ若いうちに死ぬもんじゃないと、ヘルファイアーは傍らに降り立った青いスティンガーを駆るタンザナイトに下がるよう促した。月明りの夜を思わせる青い髪と瞳をした、まだ少年と言っても良いイェーガーは頷き、レーザーガンを照射しながらそそくさと後退した。
 その間に、紺と白のスティンガーはバルカンを見舞われるが、レーザーガンで反撃し敵機の皿型の頭部を貫く。頭脳を失ったドラグーンフライは姿勢を崩し、傾いたビルの屋上に正面から突っ込み、原形を留めたまま停止した。
「アイザックス、オニキス、何とか時間を稼いでくれ」
 数秒で十分だとヘルファイアーが言い出す前に、オニキス駆る黒いスティンガーと、アイザックスの操る紺と白のスティンガーが、バレットライフの左右に回り込んだ。
「お前も殺してやる……!」
 暗く冷たく、ドスの利いた声を響かせるバレットライフだが、ヘルファイアーは動じない。その間にオニキス機がガトリングガンを、アイザックス機はレーザーガンを発砲してバレットライフの脚を穿つ。
 その隙にヘルファイアーは愛機を後退させ、マシンガンを撃ちながら、左肩のレールガン・KWG-RG20の砲身を展開した。かつてミラージュがWB14RG-LADONの型番で生産・販売していたレールガンだったが、今はキサラギに生産・販売権が売却され、それ故型番もミラージュ風のそれから変わっていたものだ。
<レールガン メイン電源オン。発射体制に移行します>
 長砲身がバレットライフに向けられ、砲口がスパークを帯びる。
 レールガンとは言え、この砲から撃ち出されるのはプラズマである。これと砲身のレールに電磁気をかけて撃ち出すのだが、その性質ゆえ、最初の発砲前に砲身に電気を通さねばならない。その為、起動後は機体に回されるエネルギーが減少する。
 しかも、発射の際にエネルギーをチャージしてプラズマを膨張させる必要もある為、射出にタイムラグが出来ることも欠点だった。
 実際、その隙を突いてかバレットライフはミサイルを撃ち出して来たが、それで動じるヘルファイアーではなかった。ミサイルを足に受けたが、ダメージはフォースフィールドと脚部装甲で減衰された。そして次のミサイルが飛んでくる前に、ミサイルを撃たせまいとマシンガンの射程内へと踏み込んだ。
 バレットライフはエネルギー反応を察知してマシンガンとチェインガンを連射しかかるが、重量級4脚とは言え、CR-B90T2にも匹敵する高出力を有するIDA-10モデルMk.11ブースターを装備したバレットスト
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まろやか投稿小説 Ver1.50