に接触する事を恐れ、ドラグーンフライ5機は百分の数秒の間に状況把握と判断を余儀無くされた。
左右には逃げられないと判断し、ドラグーンフライたちは急いで上昇に転じた。しかし、1機は速度を出し過ぎており、前方の仲間を避けようとして急減速するも、無理な減速が祟って姿勢を崩し、立て直すも間に合わずにビルへと突っ込んだ。
無事に上昇離脱したドラグーンフライは、クオレ機が再び逃げるのを確認するや、再び下降、またもバルカンを撃ちかかった。しかしクオレも易々と機体を傷つけるわけがなく、機体を上下左右に振りながら火線を避け、ビルの破片を撒き散らしながら逃げて行く。
すぐに後を追うドラグーンフライだったが、地面から2メートルという低高度を飛行してブースターを狙っていた1機だけは運に見放され、僚機が誤射でばら撒いた瓦礫にぶつけられて姿勢を崩し、地面に接触。アスファルト上を回転しながら翼以下各パーツを千切り飛ばし、乗り捨てられていた自家用車数台を巻き込み、大音響を上げて木っ端微塵になった挙句、後から続いていたバレットライフに頭脳ユニットを踏み潰された。
その間にもクオレは逃げ続けていた。しかし前方にはバルバトス10機からなる群れが出現、クオレ機を見るやビームガンやガトリングガンを発砲しかかった。ハードフィストだけでこれだけの群れを裁くのは無理だと判断し、クオレは逃げの一手を取った。
バルバトスは逃がすまいと攻撃の手を緩めない。背後からクオレを追いかけている味方もお構い無しに発砲する。だが彼等が捕らえたのはクオレの命ではなく、最後尾を飛んでいたドラグーンフライだった。最後尾の機はバルバトス軍団が見えなくなった頃には、翼を全て砕かれ、蜂の巣同然になっていた。
まだ2機のドラグーンフライが追撃を継続している。どこかに自分を助けられそうなものがないかと期待したクオレは、レーダー前方に表示された味方機反応と、交差点に姿を現したACを見て咄嗟に叫んだ。スチールブルーのスティンガーと紺と白のスティンガー、ガトリングガンを装着した黒いスティンガーも居たが、それまではクオレの視界には入っていない。
「ヘルファイアー!」
叫んだ先には、バレットライフそっくりな4脚ACがいた。
確かに、未だ一線で活躍するMHD-RE/005、高次元でバランスの取れたコアMCM-MI/008、4脚としては最大級の積載と防御性能を有するMLF-MX/007はまったく同じだ。だが、腕部は軽量級腕部MAL-RE/REXとなっている上、フレームはバレットライフに見られる黄色と黒の迷彩ではなく、白とグレーの迷彩となっていた。関節部も青く塗られている。
そして、手にしているのは旧型番YWH13M-NIXの頃から連射力で定評のあるMWG-MGH/700二挺で、エクステンションには追加装甲CSS-IA-42Sが装備されていた。
そのAC「バレットストーカー」の搭乗者――ヘルファイアーは眼前を火線が横切った事で、何事かと旋回した。そこには、逃げて来たクオレのスティンガーと、その後を追うドラグーンフライ2機、そして3機の遥か後ろから追跡してきたバレットライフの姿があった。
「そいつらを何とかしてくれ! 弾切れで応戦できねぇんだ!!」
過ぎ去ったスティンガーからクオレの声がした事で、彼を知るヘルファイアーは一瞬疑問を抱いたが、バレットライフを前にして、その疑問はすぐに霧散した。そしてすぐに通信モニターを開く。
彼の目の前では、黒いスティンガーがガトリング砲でドラグーンフライを粉砕していた。
「ク
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