機器や配線にダメージが及ばない保証はない。
稲妻と爪を掻い潜り、エネルギーを充填しながらクオレは待った。ブラッディランサーの口が開放されるその時を。いや、一瞬開いたが、横に振るわれた爪に邪魔された。
だが、その爪が返されたとき、クオレの目が光った。
「くたばれぇッ!」
ブリューナクの砲口から集束ビームが放たれ、ブラッディ・ランサーの口を直撃した。光線は消化器官や筋組織、更には心臓までぶち抜いて尾の付け根を内側から破った。出て来た時は威力をかなり減じていたが、それでも後方に現れていたバレットライフの左腕を指型マシンガン諸共吹き飛ばした。
巨蟲を倒したクオレだったが、しかし4脚ACはすぐさま自分を狙った相手を認識、チェインガンやマイクロミサイルを撃ちながら迫ってきた。
「ブリューナク、撃ち止めです」
ハインラインが全部言う頃には、クオレはオーバードブーストでバレットライフとの距離を離しに掛かっていた。ACのそれとは違い、溜め動作なしですぐ起動するが、発動時には機体にとって莫大なエネルギーを消費し、しかもかなりの熱が発生するのは同じだ。機体の負荷を考えると、あまり無理はさせられない。だが、左腕がなくなった分軽量化されたバレットライフが殺意を吐きながら迫って来ている。
ならばとクオレは、射撃から逃れようとビルの谷間をすり抜け、交差点を曲がってひたすらに逃げ捲くる。応戦手段はない。忌々しい相手ではあるが、自分の今の腕を考えると、バレットライフはハードフィストだけで戦うには危険すぎる相手であるとクオレは判断していた。よって、望みは逃げ続けてツキを期待するのみである。
そんなクオレは運の悪い事に、背後から、赤いレーダー反応に猛スピードで迫られていた。
カーブを曲がろうと減速した際、背後の敵機は減速が間に合わずクオレの目の前をフライバイした。トンボと複葉機を2で割ったようなドラグーンフライのフォルムは、彼には見間違いがなかった。
「クソ、厄介なヤツに出くわしたか!」
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