#10:バグ・ハンティング

ットの頭を吹き飛ばし、アミダを蜂の巣のようにして下水道へと強制送還、地下で爆発させしめた。
 だがそのお陰で、クオレは近くの物陰に潜んでいたアサシンバグに気が付く事が出来た。だが、気付いたのはブリューナクを向けた直後の事であり、発砲前にクオレ機は飛び掛られ、しがみ付かれた。
「くそっ、放せッ! この野郎!」
 開いていた左腕を強引に押し出し、アサシンバグを引き剥がしに掛かるが、刺だらけの脚が関節や各種部品の隙間に引っ掛かっているのか、中々離れない。しかも、苦し紛れか火炎弾を吐いてクオレを蒸し焼きにしようとする。
 そこに、イェーガーズチェインのエンブレムを持つサイクロプスが駆け寄り、引き剥がそうとハードフィストを巨大羽虫の胸部に叩き込んだ。2度の殴打で、クオレも胸部の向かって右側が大きく抉られたのを見て取り、拘束が緩んだ隙を突いて左腕を大きく突き出し、アサシンバグを振り払った。
「有難う、助かった!」
 礼を言うと、クオレはすぐにアサシンバグにハードフィストを食らわせて止めを刺した。そしてすぐに這い出して来たアミダ目掛けてビームを撃ち込む。
「クオレ、今入った情報です」
 ハインラインの通信に振り返らずとも、クオレは耳を傾けた。
「アースガルズ連邦政府軍が行動開始。主戦力はジュイファシティ西の機械生命体排除後――」
「くそっ、また来やがった!」
 クオレの悪態とその眼前のアサシンバグ、サイクロプスが発砲したアサルトライフルの銃声によって会話は中断された。ファイアーボールを食らうが、クオレは拡散ビームに切り替え、構わず撃ち返す。
 アサシンバグに限らず、羽虫型のモンスターは総じて機動力が高く、正面に捉えているうちに攻撃しておかなければ撃破に大変手間取る。一分一秒でも長くのさばらせれば当然人命を危険に晒しかねない。
 羽を千切られ、地面に落とされてもアサシンバグはまだ暴れまわり、苦し紛れからか全身蜂の巣のようになりながらも救出現場へと走り出した。
「くそっ、止まれ!」
「おい! アイツを止めろ!」
 他のスティンガーとサイクロプスが一斉射撃するにおよび、そのアサシンバグはようやく動かなくなったが、更に別のアサシンバグが救助隊に迫っていた。羽や歩脚、前脚のカマが千切れ飛び、肉片と体液をばら撒きながら、残るカマを振り上げて肉薄していた。
 反射的にブリューナクを向けるクオレだったが、アサシンバグはそこで力尽き、別のスティンガーに引き摺られる形で退場させられた。救助隊にカマが届くまであと5メートルと言う所だった。
「ハインライン、確かアースガルズ連邦政府軍が動き出したとか言ってたが?」
「はい。一部部隊がモンスター掃討を開始したとの連絡を受けていますが、主戦力は機械生命体へと向かっています。主力部隊は機械生命体を撃破し次第、モンスター掃討に移るとの事ですが、それまでは持ち堪えてください」
 クオレは何も言わなかったが、至近距離に迫っていたアミダを撃ち抜いて返答に代えた。
 既にクオレがこの現場に来てから20分以上が経過している。迅速さが要求される救助現場ながらもこれぐらい時間が掛かるということは、余程作業が難航しているらしいとクオレは察して取った。彼は救助に関しては門外漢であるが、潰れた自動車のルーフに人間が挟まれているとなると、その撤去はかなり困難であろうと見ている。裁断機で切断するにしても、その衝撃で要救助者の心身にダメージが及びかねないのだから。
 しかも、救出されているのは女の子と言うから、出来る事なら助かってくれと願って止まなかった。
 だが、ク
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まろやか投稿小説 Ver1.50