#10:バグ・ハンティング

発分の発射に耐えうるエネルギーを積載し、パーセント表示で残り発射可能数を表示しているが、クオレ機のそれは、残り62%と表示されている。
 収束・拡散・連射とボタン1つでモードを切り替えられる汎用性の高さだけに、エネルギー切れには注意する必要があった。
「おい、まだ救助終わらないのか?」
 クオレは救助隊に訊ねるが、応答がない。
「レスキュー隊へ、救助活動の進捗状況はどうなっていますか?」
 ハインラインも、自分への返答どころではないだろうと承知しながら、マトモな回答が望めないのを覚悟した上で訊ねていた。
「ネガティヴ、まだ女の子が残っている」
 応答してくれた救助隊員が言うには、現在救助されているのは近くのビルから崩れ落ちた瓦礫に巻き込まれた数台の車に乗っていた市民で、これまでに軽自動車を運転していた中年の男性とその同伴者である女性、潰れた白い自家用車に乗っていた女性の3人は遺体が確認された。幸い、その白い自家用車に乗っていた幼い兄弟と、青い自家用車のドライバーとその妻、そして下の娘を救出したが、青い自家用車に娘の姉が取り残されている。
 救助隊員の話では、女の子の意識はあるものの、潰された屋根に挟まれた状態になっているそうで、これから屋根をジャッキアップし、ひしゃげたドアを切断の上で救出を試みるとの事である。そしてそんな彼等を餌食にすまいと、ハンターとイェーガーは、モンスター達を近寄る端から抹殺していく。
「分かった。救助が終わるまではここを離れないようにする」
 女の子が無事に救助される事を祈りながら、クオレはブリューナクを陥没した道路に向ける。滅茶苦茶に破壊されたアミダの残骸のなかで、巨大な蛆虫が這い回っていた。
 名前もそのものずばりの「マガット」で、敵地の人間を食らい尽くす目的で生み出された生体兵器の成れの果てだ。こいつは成長しても蛆虫のままだが、外見的に酷似しているハエの幼虫同様に何でも食らい、凄まじい繁殖力を有している。ACやMT、ACBにとっては恐れるほどではない存在で、クオレもオールド・モンテレーを初めとして各地で駆除して来た楽勝の相手だが、全長2メートル以上、大きいものだと15メートルを超えるため、武装していない人間にとっては危険な存在である。
 恐らくはアミダの死肉目当てで集まって来たのだろうが、救助隊員と女の子が捕食される危険性を考慮し、クオレはまずブリューナクを収束モードに切り替え、一番大きな全長5メートルほどのマガットを一撃で仕留める。そして間髪入れずに連射モードに切り替え、他の蛆虫も次々に倒す。
「これでも食らえ!」
 ハンターが怒鳴りながら発砲し、何かしらの外敵を潰しているのがクオレにも分かった。
 大丈夫だろうかと、クオレは救助隊員のほうを振り返った。ジャッキアップが終わったと見え、隊員の一人がエンジンカッターを取り出し、注意深くドアを切断に掛かっている。その傍で、救出されようとしている女の子の両親と妹が、恐らくは女の子を励ましているのだろう、絆創膏を貼られながらも窓へと頭を向けていた。
 だが、その救助隊員の近くのマンホールが突然押し上げられ、巨大な蛆虫が顔を覗かせた。だが、アーマード・カファールから降りてきたイェーガーが横からウジ目掛けて発砲、撃たれたマガットは身をよじりながらも這い出して来たが、近くのスティンガーに蹴られて退かされた。
 しかし、マガットやアミダはビルの物陰やマンホール、道路が陥没した箇所から次々に現れた。クオレは救助活動が成功する事を祈りながら、陥没地点へと粒子砲を発砲。這い出して来たマガ
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まろやか投稿小説 Ver1.50