#10:バグ・ハンティング

戒に回った。武装ゴキブリことアーマード・カファールはその周辺に展開した。
「畜生、来やがった!」
「殺せー!」
 怪物たちの姿を認め、ハンター達が一斉にアサルトライフル、ショットガン、レーザーガン、ガトリングガン等を発砲した。クオレ機はブリューナクを連射モードに切り替え、まずは眼前に現れたグラトンワームにその矛先を向けた。
 グラトンワームは涎を滴らせ、醜悪な牙の生えた口を大きく広げてクオレに迫るが、低威力・高速連射タイプの針状ビームを秒間10発浴びせられて頭部を粉砕された。
 さらに、クオレ機や他のスティンガーが繰り出した連射ビームは、ベルゼバブやヴァンパイア、アサシンバグ、グラトンワーム等のモンスターを、近寄る端から次々に粉砕していく。
 クオレがアサシンバグに拡散ビームを見舞い、地面に落とした所で近くの陥没道路から巨大なものが這い出してくるのに気が付いた。装甲は暗緑色で、丸いボディの全面に生えた足がザワザワと蠢いている。
「クソ虫が来やがった!」
 火炎弾を浴びながらも地面を這いずるアサシンバグに止めを刺したクオレは、粒子砲を再び連射モードに切り替え、新たな巨大生物をロックオンした。
「アミダか!?」
「“原種”か」
 他のハンター達も姿に気が付き、一斉に銃を向けた。一番早かったのはアーマード・カファールの上部旋回砲塔で、ガトリング砲を放ってクオレがロックオンしていた巨蟲を見る間に粉砕した。
「いや、クソ虫で正解だろう」
 新たに這い出して来たアミダを見て、クオレが毒づいた。
「全く、キサラギもロクなモノを作らねぇな」
 同じ気持ちだと、クオレは通信回線上で同僚のハンターに頷いた。
 アミダが、ナービス戦争でキサラギが作り出した生物兵器である事以上に、ナービス戦争当時は自爆によって当時のAC乗り達に大被害を与えた事は、レイヴンのみならずハンターやイェーガー、さらには政府軍関係者の間でも有名な種である。半年ほど後の24時間戦争時代で品種改良され、溶解液を吐いて攻撃したり、飛行する変種がいる事でも知られている。
 今現れたアミダは、外見で言えば、ナービス戦争時代や24時間戦争時代のものとそう大差はない。それゆえか、ハンター達からは「原種」と呼ばれている。
 だが、ジナイーダが死ぬほど憎いどころか、彼女をのさばらせたと言う事で24時間戦争時代の事象やレイヴン達さえゴキブリの如く嫌うクオレにとっては、アミダはクソ虫でしかない。
 いや、実際そう言われても仕方がない。何せそのアミダは下水道から現れ、インファシティ住民が垂れ流した廃棄物や排泄物やヘドロに塗れて現れたのだから。
「撃て! 近寄らせるな!」
 誰が言い出したか知らないが、ともあれ味方機のミサイルが攻撃合図になった。粒子砲やマシンガン、アサルトライフル、レーザーガン、ミサイルなどが立て続けに繰り出され、クオレも連射ビームで射撃に加わった。そのため、現れたアミダ達は例外なく長生き出来なかった。
 アミダの残骸は千切れた足がまだ蠢いていたり、のたうったりしていたが、ハンター達の注意は新たに接近してきたベルゼバブに向いていた。血の臭いに引き寄せられたのだろうか、いずれにしてもそいつはすぐに集中砲火を前に吹き飛ばされ、木っ端微塵になって救助現場近くに墜落した。クオレも接近してきたベルゼバブに拡散ビームを叩き込み、2匹を撃墜した。
「クオレ、ブリューナクの発射可能回数に注意して下さい」
 ハインラインに促され、クオレはブリューナクの弾数表示に目をやった。
 ブリューナクは発射可能連射モードで約2000
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まろやか投稿小説 Ver1.50