#10:バグ・ハンティング

れる者もいるが、クオレにとってそれは殆ど救いとはならない。
 寧ろ、メンテナンス性や装備互換性等の効率化という観点から、ある程度装備や機種の方向性を限定しがちな機械生命体と違い、モンスター達は開発された研究所が別個だった点、生育環境の差などもあってか種類も攻撃手段も機械生命体以上に多彩であり、その都度装備や攻撃を変えなければ対応するのは難しい。ACならば生体センサー搭載の頭部が必須だ。
 しかも、人間を喰らって成長し繁殖するのは勿論だが、中には人間の身体に卵や幼生を産み付けて繁殖するおぞましい生命体さえいる。
 そのためクオレは、モンスターはただ人間を殺すだけの機械生命体よりもタチが悪いと見ていたのだ。レイヴンキラーやジナイーダあたりと比べて「どれが一番悪質なのか」と質問されると、回答に窮するだろうが。
「要救助者確保!」
 救助隊員が声を張り上げたので、ハンター達が視線を転じると、女の子が抱きかかえられて家族の下へと連れて行かれる様子が確認できた。クオレも女の子が家族と無事再会出来たのを見て取れた。女の子は幸いにも煤けた頭や足から僅かに出血していたものの、両親に抱かれながらも両足が地面に突いている辺りから察すると、大事には至らなかったらしい。
 しかし他の被災者が担架で担ぎこまれ、また軽傷でも万が一を考えてか、救助隊は家族を伴って女の子を救急車両へと乗せた。
「このままジュイアン病院へと搬送します。援護を!」
 救急車が急発進するや、ハンター達は今度はその護衛に回った。前後をアーマード・カファールが、その両脇や背後をサイクロプスやスティンガーが固める。
「悪い、もうすぐ弾切れだ。俺は帰還する」
 後は任せたと言い残し、クオレは残りエネルギーが24%にまで低下したブリューナクを手に、一度基地へと急ぎ出した。
14/08/07 15:00更新 / ラインガイスト
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まろやか投稿小説 Ver1.50