物だ。
「少なくとも、以前の君の様な暴走状態は起こさないでしょう」
実際ナギダが見た過去のクオレは、ジナイーダ憎しが過ぎて病院から脱出して怪我を更に悪化させるなどの問題行動が目立っていたが、マルジナントキニンを投与するようになってからは、幾分か大人しくなっている。
「暴走、って……」
「分かってっから皆まで言うな」
疑惑や侮蔑と言った視線を感じ、クオレは低い声を荒げた。
「いずれにしても、もう大丈夫でしょう。マルジナントキニンを渡しておきますので、今までどおりに規定量を守って投与して下さい」
ナギダは患者兼被験者に渡す分のマルジナントキニンを取りに行くべく、白衣の男に他の患者の処置を任せ、一度病室を抜け出した。
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