#07:レイヴンキラー

カンを放って離脱するヒットアンドアウェイ戦法でACを痛めつけに掛かる。
 グラッジパペットは逃げながらマシンガンを発砲するが、ガロンにはバリアがある為に弾丸がまるで通らない上、サイドステップで回避される。
 ドラグーンフライに至っては、あまりの高機動ゆえマシンガンがロクに当らない。インサイドミサイルでガロン1体を破壊するのがやっとの状態で、逆にレーダーや右肩、左腕、迎撃装置、腰部アーマー等をやられる。
 ザルトホックXVも右腕の関節を破壊され、エネルギーマシンガンが地面を向いている。
 しかし、ただでやられるフォーミュラーではなく、後退しながらもロケットを、ついで地上魚雷を2発同時に繰り出した。ロケットは小型ではあったが、それでもバリアを突破してガロンの上半身を粉砕し、後続の1機には回避行動を取らせた。続く2発の地上魚雷は計8発の小型弾頭に分裂し、進路上のガロン3機をまとめて下半身全壊に追いやった。
 直後、ポットベリーの垂直発射式ミサイルが直撃し、更に2機のガロンを立て続けに吹き飛ばした。
 9機に減少したガロン達は行動を変化、横跳びを繰り返しながらハンター達に追いすがる。更にマイクロミサイルを次々に繰り出す。迎撃装置が死んでいたグラッジパペットはビルの屋上に退避し、大きく空中で回避行動を取らざるを得なかった。
 先輩を死なせまいとアルジャーノンはミサイルを繰り出したが、頭上にドラグーンフライ3機が出現、バルカンを浴びせかけられる。更に、背後から別のドラグーンフライがポットベリーを執拗に狙う。
「しまった!」
 アルジャーノンの顔を赤いランプが照らした。コア後方の異常を知らせるランプだ。コンソール上で、オーバードブーストが破壊されて使用不能との旨が伝えられる。
「てめぇ、何しやがる!」
 クオレは即座にマシンガンを発砲したが、ドラグーンフライがすぐさま離脱・回避行動に出たため、マシンガンはまたしても命中弾を得られない。更に攻撃が手薄になった隙を突き、ガロンが背後からガトリングガンやパルスガン、マイクロミサイルで波状攻撃を仕掛けてきた為、クオレはオーバードブーストを動員してまで回避に徹さなければならなかった。
 だが、その甲斐も無くレーダーがへし折られた。しかも、ドラグーンフライが背後からバルカンを撃ちながら迫って来ている。最早攻撃どころではなく、クオレはオーバードブーストを連発しながら機体を左右に振り、時に回転させ、狂ったピエロの如き挙動で逃げ回らざるを得なかった。
 その時、クオレは遠方を行くクラトランスに混じり、新たな兵器の姿を視認した。
 それは機体両側に翼付きの可動式エンジンユニットを搭載した、尾翼を持った爆撃機とも戦闘機とも取れるフォルムの兵器だった。機体下部にはプラズマレールキャノンやガトリングガン、ミサイル等を据え付けている。そいつはヘリのようにホバリングしながら、据え付けた各種兵器を放っている。ハンターか市民を追い立てているのだとすぐに分かった。
 そして、そのシルエットはクオレの記憶領域ですぐさま強敵に合致した。
「ああちくしょう、RKが居やがる!」
 フォーミュラーやジオストラの顔から血の気が引くなか、ハインラインが希望の光となる通信を届けて来た。
「クオレ、航空隊が発進可能になりました。レイヴンキラーは彼等に任せましょう」
「そいつはありがたいんだけどさ……」
 グラッジパペットの後方からは、なおもドラグーンフライ3機が執拗に追いすがっていた。
「問題はコイツ等なんだよ!」
 ドラグーンフライに追い立てられてクオレが喚く。
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まろやか投稿小説 Ver1.50