#07:レイヴンキラー

かさっぱり分からなかったのである。
「それよりホレ、さっさと次潰しに行くぞ」
 そういって機体を進めようとした矢先、グラッジパペットが突如足を止めた。そして、路地に向けてレーザーキャノンを発砲した。爆音と共に、上半身だけになった機械兵が火に包まれ、眼前にすっ飛んでくる。クオレはバックステップで回避し、機械兵はポットベリーの眼前を過ぎってビルに突っ込み、ようやく停止した。
 しかしその直後、今度はその機械兵が完全な形でグラッジパペットに突撃して来た。そして、レーザーブレードを振るい、緑色の光波諸共叩きつけようとしたのだが、クオレが回避運動に出るのが早く、レーザーブレードは空を切った。
 アルジャーノンは先輩を助けようと、新手の機械兵に狙いを定める。紅蓮と黒の毒々しい色合いをし、足がブレード状だが全体的には騎士甲冑を思わせる外見で、小さな翼を思わせるブースター付きリアユニットを見る限りではヒロイックな印象さえ漂う。だがそいつは、イェーガー達からはネビロス――魔神アスタロトに仕える元帥である悪魔の名で呼ばれていた。
 そのネビロスへ、アルジャーノンはバズーカを繰り出したが、素早い動きゆえに全く当らない。
「左に注意!」
 ハインラインが言う間に、ポットベリーの左から新手のネビロスに詰め寄り、レーザーブレードを一閃させた。回避が遅れて斬られたポットベリーだったが、幸い、重量級腕部MAH-RE/GGの装甲とフォースフィールドは剣戟に耐えた。しかし、エクステンションが斬られて爆発する。
 慌てたアルジャーノンはオーバードブーストを起動し急速離脱に掛かった。発展途上の13歳の肉体にとっては言語と感覚を圧するほどのGが掛かるが、このままだと斬り殺されるのは明確だったので、致し方なく逃げる。クオレを見捨ててしまうのは気掛かりだが、仕方なかった。


 一方のクオレはバックステップやサイドステップ、ジャンプ、サテライト、オーバーシュート等の機動や空中移動、オーバードブーストを駆使し、狂ったように繰り出されるレーザーブレードを掻い潜りながらマシンガンを撃ち込んでいた。
 高機動性を重視して開発されている為、ネビロスは機械軍団に付き物のバリアがなく、武装も両腕に内蔵したレーザーブレードのみとなっている。おかげで距離を取りさえすれば、クオレにも何とか戦える相手ではあった。
 その代わり装甲自体が、ACのそれ並みに耐久性を持つ上、高い機動力を武器にインファイトを仕掛け、背後や後方に回り込んで斬りかかろうとするので、中々正面に捉えられず、捕らえてマシンガンを撃っても思うようなダメージにならない。
 一度オーバードブーストで離脱を図るクオレだが、ネビロスはリアユニットを展開し、こちらもオーバードブーストを起動。青い噴射炎はすぐに消えたが、推力任せにぴったり喰らい付き、レーザーブレードを振るって来た。
 しかも、クオレがサイトに捕らえた矢先、赤と黒の機影は揺らぎと共に消え失せた。
「姿が消えてもレーダーで位置を捕捉出来ます。あくまでもステルス迷彩で姿を消しただけですから」
 ハインラインの言う通り、クオレの視界からは消えたがレーダーではその位置が鮮明に捉えられていた。位置にすればグラッジパペットの左手側、すかさずクオレは前進する。緑色の光刃と光波が、グラッジパペットの居た所を通過した。
 旋回しようとした矢先、逃げるポットベリーと、その後をオーバードブーストで猛追していたネビロスを見つけたので、すかさず武器をレーザーキャノンに切り替え、砲撃する。命中したかどうかは分からないが、ネ
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まろやか投稿小説 Ver1.50