#07:レイヴンキラー

いようだった。なんてバリア発生装置なんだ。しかも恐らくは仲間を呼ばれてしまっただろうとクオレは察した。
 ならばとインサイドカーゴを開放、ミサイルを繰り出した。左右あわせて10発しかないとは言え、高性能な実弾兵器で定評のあるクレスト社の中型ミサイルである。直撃させればMTなど一たまりもないはずだった。
 だが、赤いバルバトスは両腕の機関砲でミサイルを迎撃してのけた。
「生意気なヤツ……!」
「クオレ、旋回攻撃を仕掛けてはどうでしょう? 周辺がビル街なので多少やり難いとは思いますが……敵の運動性はそれ程高くはないようです」
 イラッとしたクオレだったが、自分がバルバトスに対し、正面切っての攻撃しかしていなかったことに気付かされた。正面からの攻撃は効果が薄いが、ひょっとしたら後方なら攻撃が通じるかも知れない。後方にバリア発生装置があるので、全方位をバリアで守られている可能性もあるが、ハインラインが言うとおり、ビームや機関砲による攻撃は封じられるだろう。
 やってみる価値はあるなとクオレは決した。
「分かった、やってみる」
 ビーム砲による攻撃の中、クオレは機体を上昇させ、ビルの上に降り立った。そして道路上から狙ってくるバルバトスを見下ろす形のまま、ビルの屋上を飛び移る。バルバトスも即座に旋回して追うが、小回りの面ではグラッジパペットが上だった。
 クオレはこのタイプのバルバトスは見た事がなかったので、まずはどの攻撃手段が一番有効かを確かめる為、背後を取ると、まずはマシンガンを発砲した。だが、バリアが弾丸を阻んだ。
 ならばと今度はレーザーキャノンを発砲するが、これもバリアに阻まれ無力化された。全方位をバリアで保護しているらしい。
 今度はミサイルに切り替え、ロックオンした矢先、突然バルバトスの1機が爆発四散した。少し遅れて、もう1機が同じ末路を辿る。
「やっと追いつきましたよ!」
 ヒイヒイ言いながら、アルジャーノンが通信モニターに出現した。少し遅れ、ポットベリーが姿を現し、バズーカでバルバトスをもう1機粉砕した。
 クオレもロックオンが完了したミサイルを背後から放った。背後からでは機関砲による迎撃も功を奏さず、ミサイルはバリア発生装置に突き刺さった。
 防がれたかとクオレは思ったが、直後にバルバトスは上半身を吹き飛ばされて倒れた。
「対エネルギー兵器用のバリア……どうやらこいつが、例のエネルギー兵器が通用しない敵機と言うわけですね」
 アルジャーノンが呟いた。
 しかしながら、高出力レーザーキャノンでさえ防ぐバリアでも実弾の大口径火器には全く役に立たないのは幸いだとクオレは思った。そもそも、実弾兵器とエネルギー兵器、それぞれに専用の防御スクリーンがあることからも分かるとおり、実弾とエネルギー兵器ではダメージの与え型が違ってくる。エネルギー兵器は主に熱等でダメージを与えるが、実弾兵器は材質をぶつける事による衝撃や運動エネルギーでダメージと、敵に与える損害の性質が違う事に起因していた。
 今回はエネルギー兵器防御用のバリアだが、どこかに実弾兵器防御を重視したバリアがあっても不思議ではない。
「赤いからといって3倍の能力がある、というわけではないみたいですね」
「何の話ですか?」
 アルジャーノンの呟きが、ハインラインにも聞こえていたようだ。
「いえ、その、昔そういうアニメがあったって聴きまして……」
「色で性能アップするんだったら技術屋とチートはいらねぇよ」
 クオレが突込みを入れて来た。ハンター家業に明け暮れるあまり、アニメを全く見ない彼には、何の事
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