#07:レイヴンキラー

ので、このタイプのブレードはレーザークローと呼ばれている。全ての射撃武器を喪失したデスペナルティだが、とりあえず最後の武器は残っている事にアニマドは頷いた。
「掃討か……それをしなければならんほど敵が残ってるとは」
 溜息をついたアニマドに、生き残っていたネビロスが襲い掛かり、レーザーブレードを叩き付けてきた。だが正面から斬りかかったのが愚かだった。振り払われた右腕のレーザークローで剣戟を弾かれた挙句、斬り返されて3本の平行線を胴体に刻まれた。とどめに左腕のクローが動力部を貫き、爆発させた。
 市街地まで戻ったところで、更に2機のネビロスが襲い掛かってきたが、1機は左のクローに向かって右脇から左肩にかけてを切り裂かれ、もう1機は右のクローに頭を貫かれた上に股間までを縦一文字に切り裂かれた。
「おい、大丈夫か!?」
 眼前に墜落していたスカイシミターから中年のパイロットが這い出して来た。イェーガーではない、パイロットスーツと墜落した機には地球政府軍のエンブレムが見て取れる。墜落のショックか何かで何箇所も骨折したのだろう、血に塗れた足を引き摺っている。
「オペレーター! 救助隊派遣を要請する!」
 位置座標を伝えると、アニマドは倒したネビロスの上半身を踏み砕いて近付き、デスペナルティを屈ませた。そして、機体全面を開いて昇降用の縄梯子を下ろし、応急手当キットを携えて機を降りる。
「お、お前は……」
「雇われのハンターだ」
 麻酔が無い為にパイロットを痛がらせ続けるのは仕方ないが、兎に角アニマドは近くに落ちていた板を足に当てがい、止血用のゲルを塗布して包帯を巻いて行く。あくまで応急手当なので本格的な治療はその手の関係者に任せるしかないが、最低でも止血はしないと生命に関わる事態を引き起こしかねないので、アニマドは専門外の拙い腕ながら、何とか処置を進める。
「もうすぐ救助が来る。それまで頑張ってくれ」
 苦痛に呻くパイロットだが、もう少しの辛抱だと励ましながら、アニマドは包帯を巻いて行く。
 その時、ローター音がアニマドとパイロットの耳に入った。そして、それが救助ヘリであると2人が理解し、また当のヘリ搭乗員が2人の姿を発見するまで、それ程時間を要さなかった。
 アニマドは両手を振って此処だと位置を示す。怪我の程度はどうあれ、これで彼は大丈夫だろうとアニマドは見た。ヘリが着陸すると、後は医療関係者の手腕とパイロットの治癒力に全てを任せて、デスペナルティへと戻って行く。
 機械生命体の数が減った事で、インファシティには戦闘兵器以外の各種機械の姿も見られるようになっていた。ハンターやイェーガー、或いは地球政府の兵器に護衛されながらではあるが、救急車両や救助ヘリ、残骸撤去用の工作機械等が、デスペナルティが進む中で散見される。
 随所で、残骸を撤去しているスティンガーやACの姿も見る事ができた。
 だが、それと共に引き裂かれたりペースト状にされた人体の成れの果てが彼方此方に散見され、中には露出した臓腑の中で回虫が蠢いている死体さえあった。そうでなくても、インファシティは焼死体や轢死体、射殺体のオンパレードであり、とても見ていられるものではない。
「やれやれ、何とも酷い有様だ……」
 同じ気持ちだとオペレーターは思ったが、私情は口に出さなかった。
 その間にもデスペナルティは中破状態ながらも市街地を進み、残敵と生存者を探して回る。しかし、レーダー上に敵反応はなく、生き延びたスティンガーやプロキシマ、スカイシミター等が同じ目的で周辺を徘徊している程度である。生存者も見られ
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まろやか投稿小説 Ver1.50