#07:レイヴンキラー

デター、そしてアニメから飛び出して来たかのような華麗さが漂う三面翼フォルムのセイレーン、そしてワスプだが、彼等はバリアを破るべくハードポイントに接続したビームキャノンや、AC搭載用のそれよりもふた回りは大きい戦闘機用ミサイル等で、レイヴンキラーを撃墜して行く。
 更に、周辺のハンター達が駆る生き残りのスカイシミターも次々に空中戦へ加わってくる。
 レイヴンキラーも確かに機動性に優れている。だが、全長23メートル、全幅15メートルと大柄なため、全長約17メートル前後とより小柄で薄っぺらく、当然運動性も高いワスプやプレデター、さらには全長15メートルとより小柄な機体であるセイレーン、そしてスカイシミターにはレールキャノンの的を絞れず、可動式のバルカンでも早々命中弾を得られないなど、苦戦を余儀無くされていた。しかも、プログラムと変質した人間のデッドコピーに操られる無人機であるレイヴンキラーには、生身のパイロットの様な柔軟な判断力が備わっていないのである。
 この為、AC相手には無敵に等しかったレイヴンキラーだが、航空機相手――厳密には人類側の戦闘機相手となるとそうは行かなかった。事実、航空機部隊到着から、レイヴンキラーは絶対的な優位を失っていた。ある機体はミサイルやプラズマでエンジンを破壊され、またある機体はドッグファイトの果てに機体後部を吹き飛ばされて高度を保てなくなり、更に別の機はヘッドオンからの射撃によって人工頭脳を粉砕された。
 もちろん、空中戦で撃墜された有人戦闘機も出たが、ACに対して無敵だった空中機動兵器は次々に落とされ、砕かれていく。
 30分近くに及ぶ空中戦の末、投入された機の大多数を失うに及び、レイヴンキラーは撤退を始めた。生き残りの機械兵達がその後を追うように、インファシティから離脱して行った。
「逃げるのかこの野郎! そうは行かんぞ!」
「見失うな! 追え!」
 離脱して行く無人兵器群に、有人の空中機動兵器達が猛追撃を開始した。
 主戦場はやがて、インファシティから西へと移って行く。


「ダビッドソン少佐より連絡。機械軍団はインファシティからの撤退を開始、西へと進んでいます」
 航空機部隊が参戦し、主戦場がインファシティ西へと移った頃、オペレーターからの報告を受けていたアニマドは傷だらけのデスペナルティを川岸へと立たせていた。機体の随所を傷だらけにし、周辺にネビロスやバルバトス、ガロン、デバッガーなどの残骸を散乱させて、彼は満身創痍の愛機を再び動かした。
 今回の戦いは消耗戦だった。携えてきたバズーカも背部の着脱式コンテナに入れてきたガトリングガン等の予備武器も全て使い果たし、腕部に装着したハンドロケット砲も乱戦の最中に失った。ブースターも損傷して火花を散らしている。共闘していたプロキシマ2機は、いつの間にかはぐれてしまっていた。
「引き続き、残敵を掃討して下さい」
 オペレーターが命じる。だがイェーガーやハンター達にとって、掃討は敵の破壊だけではなく、撃破された仲間の救出という意味も含んでいた。残敵が戦闘不能となった同業者達に攻撃を加えないとも限らない為である。
 さらに別の区画では、地元のハンター達が救助隊と協力して生存者達の救助に当たっているという報告も、オペレーターからもたらされている。
「分かった。どこまでやれるかは分からんが……」
 顔面とヘルメットの中を汗だらけにしながら、アニマドは武器コンソールを操作した。少しの後、両腕から近接専用のレーザーブレードが生成された。ただ、3本の刀身が並ぶ配置がまるでツメを思わせる
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まろやか投稿小説 Ver1.50