#07:レイヴンキラー

はターボクロックの股間を直撃、容易く機体を爆発四散させた。
「ジオストラさん!」
 死を察し、アルジャーノンは不意に叫んだ。
 さらにその横で、今度はザルトホックXVがプラズマレールキャノンを食らった。プラズマは下半身をアスファルトごと粉砕破壊し、機体は爆発炎上。フォーミュラーの生死は、アルジャーノンには分からなかった。
 地上からはアーマード・カファールが搭載火器で応戦しているが、レイヴンキラーは主翼部の可動式エンジンポッドによって実現した高い機動力を遺憾なく発揮し、旋回しながら上昇する「シャンデル」や、螺旋を描くようなコースで飛行する「バレルロール」、更には高度を変えずに機首を反転させる「クルビット」等、戦闘機が可能とする複雑な機動で弾幕を回避してのける。時々命中弾も出たが、バリアに阻まれてしまう。
 回避行動の中でも、レイヴンキラーはプラズマレールキャノンを繰り出して逆襲に転じた。アーマード・カファールが2台立て続けに餌食になり、増援として現れたACが片っ端から搭乗者諸共殺される。ドラグーンフライ2機に挟撃され、フロートACの比ではない機動性に翻弄された挙句、反撃もままならずに蜂の巣となる機もいた。
 ACの中には地元アリーナのランカーもいた。対AC戦を前提とした、上半身を重量級コアで固め、脚部をCLM-02A-SNSKA1とし、ライフル2丁を携えると言う、バーテックス戦争当時から王道であったアセンブリも見受けられる。
 しかし、24時間戦争やバーテックス戦争に置いて死角のないアセンブリとされたACでも、レイヴンキラー相手には全く太刀打ち出来なかった。プラズマレールキャノンを回避出来ずに瞬殺――それで終わりだった。
 オーバードブーストのないコアでは、たとえ中量級2脚だったとしても、秒速数キロにも及ぶ初速のプラズマキャノンを回避する事など到底適わないし、逃げた所でタカが知れている。しかも、重量級コアで守りを固めたとしても、フォースフィールドの比較的薄い中量級脚部を狙い撃ちされれば最早まともに戦う事など出来ない。そして、脚部を失ってフォースフィールドとその発生区画面積を低下した所を粉砕されるのが常套であった。
 しかも、レイヴンキラーにはACの攻撃がロクに当らないばかりか、ライフル弾程度など雑作もなく弾くバリアまで搭載されているのである。
 事実、アルジャーノンは中量2脚がレイヴンキラーを発見して攻撃し、ライフルによる射撃を悉く弾かれた挙句、プラズマレールキャノンで全て返り討ちにされる様子を目の当たりにした。軽量級2脚、逆関節脚部なども同様。ポットベリーはバズーカやミサイルで反撃するが、バズーカは回避され、ミサイルはフレアで無力化されてしまう。
「アルジャーノン、相手にするのは無理です! すぐに逃げて下さい!」
 そうしたいアルジャーノンだったが、ドラグーンフライのバルカンにより、すでに後部の推進機関を破壊されていたので、逃げたくても逃げられない。
 ハインラインの訴えも虚しく、ポットベリーも標的に選ばれ、プラズマが叩き込まれた。だが、コア・腕部・脚部の全てを重量級パーツで固め、なおかつシールドを装備し展開していたポットベリーは見事プラズマに耐える事が出来た。続けざまに第2射が見舞われるも、シールドと重装甲、フォースフィールドはプラズマを再び耐え切った。
 だが、ポットベリーの攻撃もレイヴンキラーには当らない。バズーカは容易く回避され、ミサイルはフレアによってその狙いを狂わされてしまっていた為である。しかも、レイヴンキラーはそのままポットベリ
[2]前へ|[3]次へ
ページ移動[1..11 12 13 14 15 16..20]
[7]TOP [9]目次

まろやか投稿小説 Ver1.50