#07:レイヴンキラー

彼は機を見てこの高機動機械兵に反撃を試みるも、マシンガンは当らず、インサイドミサイルは回避され、レーザーキャノンはロックオン出来ないと散々たる有様だったのである。
 一応、マシンガンが掠めたのか翼が折れたり足が脱落しているドラグーンフライもいたのだが、メインエンジンと噴射ノズルつきの後部はまだ生きているので、墜落せずに済んでいる。
 更に、別のドラグーンフライまでも追撃に加わって来たので、いつしかクオレは、攻撃のろくに当らない相手5体に追い回されるハメになっていたのである。
「そこのハンター、苦戦してるようだな?」
 通信回線から男性の声が聞こえて来た。
「待ってろ、手を貸してやる」
 その直後、送り狼が2機立て続けに爆発した。残る3機は散開し、入れ替わりで高機動MT・スカイシミターが姿を現した。老朽化により現在は閉鎖されてしまった地下都市アンバー・クラウンの廃墟から発掘された残骸から復刻した可変MTを更に進化させた代物で、飛行形態時には戦闘機にも匹敵する機動性を発揮する事から、撃墜がかなり難しいことで知られている。
 それが5機、姿を現した。その全てにイェーガーズチェインのエンブレムと、部隊マークであろう翼竜の姿が刻印されている。ただし、カリバーン隊のマークではない。カリバーン隊の翼竜マークは青基調で「両足に剣を持ったリアルな翼竜」の絵だったのに対し、こちらはシルエットを思わせる赤の単色ベタ塗りだった。
「プテラノドン1よりそこの赤黒いAC、大丈夫か?」
 そうか、彼等はプテラノドンと言う部隊名なんだなとクオレは納得した。
「此方グラッジパペット、危うい所だったが助かった。有難う」
「良かった。無事で何よりだ、グラッジパペット」
 なんにせよ、厄介者を追い払ってくれた事はありがたかった。味方機にもう一度礼をすると、クオレは仲間達の元へと戻った。
 彼等は、まだガロンに追い立てられていた。いや、ガロンの群れにレーザーライフルを携えたバルバトスや、両腕をガトリングに換装されたバルバトス達が加わっている。ガロンの数は4機にまで減り、更にポットベリーのバズーカに1機が粉砕されたものの、素早い動きで攻撃を避けまくっている。
 中にはデバッガーの姿もあったが、これに関してはターボクロックが出現する度にMLB-JAVELINの光波で破壊している為、残骸を見た限りではMWM-S42/6やMWC-LQ/35を装備していながらも、仲間達には大したダメージを与えられていないようだった。
 安堵したクオレはインサイドミサイルを発射、ガロン1機を横から破壊し、更にマシンガンでバルバトスを次々に仕留めて行く。
 更に、クオレを助けてくれたスカイシミター――プテラノドン隊5機や、周辺で戦っていたスティンガー3機、ガトリングガン等を装備した機動装甲車アーマード・カファールが加勢して来る。
「機械でお悩みだろうか?」
 スティンガーのパイロットが話し掛けてきた。低い声からすると、古参や熟練者の部類になるハンターが乗っている模様。蒼い機体の肩には剣を持った銀の小手が描かれている。
 良く見ると、スティンガーはカーキ色の機体に蒼いドラゴンのエンブレムだったり、緑の機体で赤いサソリだったりと、容姿とエンブレムが見事にバラバラだった。仲間からはぐれたのか、或いは単独で戦っているハンターがたまたま共闘していただけなのか。
「ああ、丁度良い所だ!」
 フォーミュラーの返答と共に、ザルトホックXVが地上魚雷を繰り出し、ガロンを粉砕した。他のハンター達もそれに続き、機械生命体達を次々に撃破して
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まろやか投稿小説 Ver1.50