「状況を報告します」
4月9日の午前10時18分、クオレは整備を完了していた愛機のコックピットにて、ハインラインからの通信を受けていた。
「インファシティにおける機械生命体軍団との戦闘は、引き続き継続中です」
ここに来てからほとんど毎日襲撃が続いているからそんな事わかってるんだけどなとクオレは思いかけたが、ハインラインが折角説明している中で無礼な事を口走り、信頼と感情を損ねるべきではないとして、押し黙る。
「クオレ、君は他のハンターやイェーガー達と共に、遊撃戦力として独自に行動。機械生命体を掃討する任を引き受けて頂きます。拒否は認めません」
「そう来ると思ったぜ」
拒否する気もないけどなとクオレは思った。第一、憎きジナイーダを復活させた張本人は機械生命体であり、それを潰す為に、滞在延長申請までして戦っているのである。ジナイーダへの復讐のためには、避けて通れない事であったのだが、そもそもクオレは既にその覚悟を決めており、依頼を拒否する気は1ピコグラムたりとも存在しない。
そのクオレの周辺で、出撃準備完了したグラッジパペットから、整備士達が次々に離れていった。別の整備士達は作業用MTを操り、マシンガンの弾薬補給をしている。その向こうでは補給も終え、出撃準備を整えたポットベリーとその搭乗者が、グラッジパペットの出撃を待っていた。
本来ならポットベリーは、アルジャーノンが父親により出撃を差し止められている関係で出動出来ない状態のはずだった。だが、機械生命体による被害が大きく、更にダビッドソンからも「全イェーガーは練度を問わず出撃」という一存があり、止む無く出撃する事となったのであった。
「機械生命体側は現在、インファシティにて展開し、地球政府軍及び地元ハンター・イェーガー達と交戦状態にあります。数は大型航空機20機、MT・ACBなどの機械兵が大小合わせておよそ800機超、そしてACが若干数。ファシナニヤラとの遭遇は報告されてません。その他、新たにレイヴンキラーが投入されている事を確認しています」
「ああちくしょう、RKまでいるのかよ……」
クオレは悪態をついた。
レイヴンキラー(Raven Killer)は、機械生命体軍団が独自に開発・製造した空中戦用の無人機動兵器で、容姿は戦闘機に似ているが、機体左右の可動式エンジンユニットにより垂直離着陸やホバリング、更には音速飛行までこなし、機体下部に搭載する主武器のプラズマレールキャノンは余程の重装甲ACでもない限り一撃で致命傷となるのは確実、軽量級ACともなればフォースフィールドの上からでも一撃の下に粉砕するほどの威力を誇る。
有人機では対Gの関係から決して出来ない機動が可能で、火力も並みのAC以上、しかも機械生命体の標準装備であるバリアで身を包んでいる為、AC装備用ライフルやマシンガンは通用せず、ミサイルも回避され、キャノン系武器はロックオンすら満足に出来ない可能性さえある。
バリアの出力はあまり高くないため、ライフルやマシンガンは防げてもリニアガンやレールガン等を防ぐのには役に立たない。それらによる撃墜報告はあるものの、基本的にACで撃墜するのは至難であり、ACパイロットの誰もが恐れていた。
「現在、頼みの綱の航空隊は、帰還して来た機を追撃してきたレイヴンキラーが滑走路に特攻、現在、塞がっている状態です。残骸撤去が完了し次第発進するとの事ですが、それまでレイヴンキラーに遭遇した場合、交戦は避け、どこかに隠れて下さい」
ACがレイヴンキラーとまともに戦ったところで勝ち目は殆どないと、ハイン
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