#06:クオレの人となり

って貰ったのを覚えてる」
 ウィンザーも嘗て、クオレに助けられたと話した。
「それに、姿勢はアレでも懲罰を喰らったと言う話は聞かないし、間違っても電気イス送りにされる人種ではないはず。俺はジナイーダとは違うんだと、しばしば呟いていたから」
 ジオストラも同じ様な見解を示していた。そして、女子供に情けを掛けるのも、自分はならず者のジナイーダやレイヴン達とは違うのだと言う事を、常に意識している結果であるとも。
 そう言えば、自分をハンターだと見なし、共に行動してくれているのは、他でもないクオレ自身だったと、アルジャーノンは思い出した。そして、13歳である自分を気にかけるあたり、平素は素朴な優しさを持つ男性なのかも知れないなと、口に出さずとも思ったのだった。
「テメェら、俺をダシに何を話してる!?」
 そんな事を話していると、当のクオレがカリバーン隊の面々の後ろに出現していた。
「と言うかカリバーン隊のバカどもは何してたんだよ! 俺らの援護もしねぇでよ!」
「悪いが北地区で戦っていた」
 カリバーン隊の面々はクオレ達が担当していた南地区ではなく、北地区へと航空支援に向かっていた為、クオレ達を援護出来なかったと、ライリーが説明した。
「文句はダビッドソン少佐に言ってくれ。彼の要請だったからな」
「きったねー、上に責任擦り付けてやんの」
「やめなさい。大人気ない」
 ケンカになる前にと、ハインラインがクオレを制した。諭されるに及び、騒ぎを起こすと不味いと察したクオレは渋々引き下がった。
「と言っても、良い所は無かったな。今日の俺等は」
 ブルーノが愚痴を零した。彼によると、カリバーン隊は離陸前から問題に見舞われ続けていたというのである。
 まず、レイヴン襲撃の余波でこの場に居ないカリバーン4・ロッドウェイが負傷して医務室送りになり、ライリー機が左の主翼を一部破損して発進不能となった。その為急遽ブルーノが指揮を引き継ぎ、4機で機械生命体の迎撃に向かったのだが、今度は離陸直後にヴォイド機がエンジントラブルで急遽帰還、隊の半分が戦闘不能状態となる異常事態となった。
 しかも、3機で出撃しての戦いでは、特にこれと言った成果を出せなかった。一応、ガロン等の機械兵は破壊し、パンツァーメサイア等を仕留めはしたのだが、機械生命体達がECMを広範囲に散布、アビオニクスをやられそうになり、カリバーン隊は戦線離脱する羽目になってしまった。
「我々は何の為に出撃したんだ……?」
 ウィンザーは俯いた。
「誰もやられなかっただけ良い」
 ライリーはそう言ってウィンザーの肩を叩いた。
「さて、立場話はこの位にして、私はオペレーションルームに戻ります。何かありましたらまた連絡しますので」
 ハインラインは鞄を下げて立ち去った。カリバーン隊の面々やジオストラも、それぞれの機体を調整して来ると言い残して去って行き、その場に残ったのはクオレとアルジャーノンの2人だけになった。
「……クオレさん」
「何だよ」
「さっき何しに行ってたんですか?」
「説教喰らった後で始末書書かされたんだよ! 悪かったな!」
 誰も悪いとは言ってないのにとアルジャーノンは思ったが、クオレの機嫌が悪いのは明確だったので、気まずいと察し、おいそれと口を挟めなかった。
「そういうお前はどうなんだよ。さっきレイザーバック少佐と偉く怒鳴りあってたじゃないか」
「僕の出撃を差し止めるといったんですよ! 全く父さんは……」
 今度はアルジャーノンの機嫌が悪くなった。
「悪いが俺もそう言うな。13歳のガキを最前線送りにして死
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