ーン隊と言った。
「知ってるんですか?」
アルジャーノンは反射的に敬礼した後、訊ねた。
「以前、都市を襲撃して来たジナイーダを空爆して吹っ飛ばそうと言った時、クオレはマジ切れしてたっけな。女子供まで巻き添えにするなこの大馬鹿野郎ってな。あ、これは俺らじゃないぜ、別のハンター連中がした事だからな」
答えたのはカリバーン3と銘打たれたブルーノだった。カリバーン隊6名の中では34歳と歳年長な為、高いキャリアと実力を買われ、部隊の副隊長を務めている。髭を蓄えたその顔からは、いかにもベテランと言った風貌を漂わせていた。
「兎に角、あいつは女と子供には甘かった」
カリバーンリーダーのライリーが率直に話す。27歳と若いパイロットだが、責任感があり、落ち着き払った行動故にメンバーからの信頼も厚く、またハンターランクS――即ちスペリオールの一人と言う図抜けた実力を持っている事から、カリバーン隊の隊長としての地位を確固たるものとしていた。
「甘いっての逆を言えば優しいって事でもあるわけだから、人間的に悪く言う心算はないが……やはり、ハンターとしてそれが良いかどうかは別問題だろうな」
「そうなんですか?」
「隊長の言う通り」
カリバーン5・ヴォイドが口を開いた。
「女子供を見ると、撃破よりも避難・救出を優先する傾向があるらしい。敵として出て来ても、無力化はするが排除はしない、という感じがある。僕が見た限りでは、の話だけど」
「それに、あまり大きな声で言うと不味いんだけどさ……」
カリバーン6を名乗る最年少隊員・ニヴェールが口を開いた。
「クオレのヤツ、ジナイーダを見るなり俺等に「あのド畜生のケツ穴にミサイルぶち込め!」だのと平然と言いやがるからな」
カリバーン2・ウィンザーとヴォイドがその話を聞いて苦笑いしていた。ライリーも苦笑を隠せなかったが、アルジャーノンの姿がある事に気が付き、表情を正した。
「アルジャーノンは聞いては駄目です。聞いたとしたらすぐに忘れるように。情操教育に害が出ます」
ハインラインに当てられ、アルジャーノンは無言で頷いた。その横でニヴェールはライリーに小突かれていた。
「だけど、女子供を見逃しているのは俺も知ってる。さっきジオストラが言ってた話みたいにな」
二ヴェールによると、クオレが女子供に甘いのはハンター仲間でも割りと知られている話だと言う。
「ただし例外もありました」
「例外?」
全員の視線がハインラインに向いた。
「情勢不安定地域において、10歳未満の子供が銃を持って強盗・殺人を働くケースが良く有りました。そうした子供たちに殺される訳には行かないと言う事で、流石のクオレも襲って来た端から、容赦なく抹殺していました」
情けは掛けるが、やはり自分の命は優先するんだなとライリーは頷いた。もし同じ立場なら私もそうするだろうという認識が、彼の中にあったのである。目的や信念はどうあれ、情けを掛けて身を滅したとあっては本末転倒になってしまうからだ。
「ただジナイーダが絡まなければ……」
「なあ?」
ニヴェールとウィンザーが頷き合った。ヴォイドもその横で小さく頷いており、ジオストラの話も総評して考えると、やっぱりジナイーダがいない時のクオレは、同業者達が口で言うほど悪い人間ではないのだろうと、アルジャーノンは認識した。
「普通の青年ですよね。アレが絡まないうちは」
「全くな」
ハインラインとライリーも頷き合っている。
「2年前ぐらいにレイヴンにやられてベイルアウトした際、たまたま近くにいたグラッジパペットで拠点まで連れて行
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