れない。
ならば、その前から次の行動を開始するしかない。全てのファシネイターの反応が消えた中で、人工頭脳は判断した。
700万の人口諸共、インファシティと、それを擁する政府である東方人民連合を殺す必要があると。
その結果、遅かれ早かれ自分達も消えてしまう事だろうが、機械軍団とそのネットワークは世界中に点在し、人類を殲滅するべく動いている。インファシティを放置し、自分達を破壊する存在となる、或いはそれを多数輩出する様な事態になる前に、自分を犠牲にしてでも同志達への脅威を殲滅する必要がある。自分達では不可能でも、同志達は必ずや、人類絶滅の大願を成せるであろう。
これは地球上最も愚かな生命体である人類と、その天敵たる機械生命体の存亡を賭けた戦争なのである。両者の和平・共存など、絶対に有り得ない。
どちらかが生き残る為には、もう一方を絶滅させるしかないのである。
「あーくそ、今回も高く付いたぜ」
グラッジパペットの弾薬が補充されていく中、クオレは収支伝票を見て溜息をついた。フォースフィールドがあるとは言え、今回は相当弾をばら撒いた。機体修理費や弾薬費、燃料費は経費申請しているので落とせるから良かったが、それでも消耗がかさばると嫌な思いをするのはクオレとて同じだった。
元来クオレがマシンガンを使っている理由としては、敵ACの早期制圧や機械兵掃討も理由としてあるのだが、弾薬費用などが安上がりで携行弾数が多いと言う点が大きい。
また、連射が聞く分無駄撃ちも多いのだが、要所要所で使うように心掛ければ弾薬費は抑えられやすく、かつ長期戦においても頼りになる点も理由としてあった。さらに言えばパーツ自体が扱いやすいのもある。
機械生命体がバリアを装備するようになり、また堅固な装甲で身を守るモンスター達が登場した事で、マシンガンやライフルが通用しない敵も増えた中、現在でもライフルやマシンガンが絶滅せずに残っているのは、クオレの様なハンターがいるからに他ならない。依頼内容に応じて標的が変化し、資金的問題からおいそれとパーツを買えないハンター達なので、やはり汎用性の高い武器が重宝されているのである。
「僕もです……」
アルジャーノンが横で苦い顔をする。この少年は比較的高価なミサイルやバズーカ用砲弾等をふんだんに使った結果、フォースフィールドにより損害こそ抑えられたものの、頭が痛くなる程弾薬費が嵩んでいたのだった。
「お前は良いだろ、親父さんが負担すんだから」
「そうだとしても……帰った後何を言われるか……」
同じくイェーガーである父が肩代わりしてくれているので、弾薬費は気にしなくてもいいアルジャーノンだが、弾薬費の使い過ぎで説教を喰らいたくは無いと恐れていたのだった。この点、年相応の少年らしいといえばらしい所である。
そんな彼のポットベリーはまだ修復されておらず、多忙な整備士達の手が空くのを待っている状態にあった。グラッジパペットの前後にも相当順番待ちの機体、それも相当破損状態の酷い機がいた事から、この分だと整備に着手されるのは明日以降になってしまいそうな有様だった。
因みにクオレのグラッジパペットは弾薬補給だけはされているが、こちらも整備士の多忙を理由に、機体の修理は後回しにされている。
グラッジパペットのみならず、周辺では見慣れたスティンガーの他、強襲仕様ACBタイタス、重量級2脚型ACを思わせる重装備型ACBギガスアーマー、四脚型ACBプロキシマ、反重力装甲車アーマード・カファール、旧来よりある無限軌道型戦車ヤグアル等が見て取れる。グ
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