#06:クオレの人となり

なせるつもりはない」
「クオレさんまで何を言うんですか! 僕だってイェーガーだ、人類の敵を放置しておく気はありません!」
「じゃあ聞くがな」
 クオレがアルジャーノンに向き直った。
「お前、ジュニアハイスクールを中退して、世間からバカだの戦うニート扱いされたいか? そもそもお前、俺や両親を殺された後、一人で生きられんのか!? つーか、お前、一人で戦えんのか!?」
「ちょっとそれは自信ないです……」
 自信がないんだなとクオレは察し、留めの一言を放った。
「じゃあレイザーバック少佐の言う事に素直に従えや」
 アルジャーノンは口をつぐんだ。反抗的ではあるのだが、13歳にしては人の言う事を素直に聞き、またそれを受け止めるだけの精神があったので、クオレの言葉が通じたのだった。
 分かってくれたようだと察し、クオレは胸を撫で下ろした。アルジャーノンがいくら意欲満点でも、彼は13歳、しかもイェーガーランクは最低ランクであるD。いた所で戦力になるとは思えないし、逆に戦死の可能性が高い。それならば、最初から出撃を止めて、学生の本分に励んで貰った方が良い――少なくとも、クオレはそう思っている。
「……まだ俺の携帯端末持ってるだろ? それでレイザーバック少佐に謝ったらどうだ?」
「はい……」
 アルジャーノンは先輩の携帯端末を開き、律儀にダイヤルし始めた。
 レイザーバックと電話がつながり、アルジャーノンが謝罪する間に、クオレは周囲を見渡した。ガレージの外で、紺色に塗装されたカリバーン隊仕様の戦闘機・ワスプが滑走路脇に駐機されている。折りたたみ式の主翼と傾斜して「×」を描くように配された尾翼、そして鋭角的なフォルムが目に付く機体が、滑走路脇に止められ、中には着陸・離陸していく機もあった。
 カリバーン隊のワスプ周辺で、蒼いパイロットスーツのメンバーと整備士と分かる男がなにやら話し合っているのが、クオレに見えた。その横でワスプの主翼下のハードポイントに何かが取り付けられていくのを見ると、その装備に関する説明か何かを受けているのだろう。カリバーン隊機はクオレから離れていたので、取り付けられている装置のディティールは良く分からなかった。
 その眼前を、4脚型ACBプロキシマが横切っていった。これは4脚ACをもとに発展したACBで、頭部がCHD-07-VENでコアがCCM-00-STOと、ACのパーツを流用して製造されているが、腕部は肘関節より先がガトリングガンになっている。
 プロキシマは脚部にホバーとブースターが組み込まれており、歩行は出来ないが滑るような高速移動が可能である。また、ACと同様、状況に応じて武装換装が可能な為、多彩な攻撃バリエーションを誇る兵器として活躍している。実際ガレージには、ガトリングガンの他にミサイルランチャーや、AC用パルスキャノンMWC-XP/75を据え付けた機もいた。
 ガレージに居たものは外に見える機と同じく、青緑色のカラーリングが施されており、また部隊マークと思しきハリネズミの紋章があったので、恐らくは同じハンターチームのプロキシマであろう。よく見ると、ガレージに居るプロキシマには「アースガルズ連邦政府認可機」の文字と番号が刻まれている。アースガルズ連邦政府領から、遠路遥々インファシティまでやって来たハンター達だろうかと、クオレは思った。
「クオレさん、端末……」
「ん、おお」
 アルジャーノンが携帯端末を返却したので、クオレはそれを受け取ると、腰のベルクロに据え付けたポーチに収納した。
 その間にも続々とハンターとイェーガーが
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