#05:人類の敵

「お前も此処に雇われていたとはな」
「今日、現地入りしたばかりだ」
 クオレ同様アニマドも、人手不足が叫ばれるインファシティのイェーガーズチェインから協力要請を受けて渡って来たと言う。そして今日インファシティを去るクオレと入れ替わる形で赴任すると、当人が説明した。
 そのアニマドが駆るデスペナルティは「タイタス」と呼ばれる重武装型のACBで、青紫色に塗装された曲線的なフォルムの機体だった。元々これはACだったのだが、改良していく過程でコア規格が廃され、既にACとは全く別物の性能となっていたのだった。
 その右腕にはクレスト製のACB用ガトリングガンが携えられており、左腕にハンドロケットCWGG-HR-66を装備している辺りに、辛うじて本機体が嘗てACだった頃の名残をとどめている。ACでなくなったが為にエクステンションは一切装備不能となったが、代わりとして、背部に予備の武器が詰め込まれた着脱式の装甲コンテナが装着されている。
「昔を懐かしんじまうが、今はクソッタレのド畜生をつぶさねぇとな」
「全くな」
 だが、ファシネイター狩りに向かおうという所で、青いパルスビームがデスペナルティの右足を焼いた。即座に2機が振り向くと、節足動物を思わせる4足歩行の戦闘メカがパルスビームを連射していた。上半身は概ね円盤状で前方にセンサーアイが集中し、両腕がパルスビームガンになっている。
 クオレはその4脚兵器が、ハンター仲間から「ガロン」のコードネームで呼ばれる、機械生命体の戦闘用MTだとすぐに断定した。
 相手の識別を数瞬で完了すると、クオレは即座にマシンガンを打ち放った。デスペナルティのガトリングガンもそれに続いた。
 だが、ガロンは弾幕を横跳びで回避、逆にパルスビームと、背部に背負っていたミサイルポッドから5発のマイクロミサイルを繰り出した。うち3発は迎撃装置KWEL-SILENTに阻まれて撃墜され、2発はグラッジパペットにあっけなく回避された。
「まずい、新手が来た」
 アニマドの言うとおり、西方向――グラッジパペットの背後に人型のメカが多数出現していた。両手足はまるでカカシのように細く、足に至っては関節のないブレード状。頭部は簡素なモノアイで胴体部は簡単な鎧のようで、いかにも量産性重視と言った風情である。何れも、機械軍団側のエンブレムである黒い地球が左肩に描かれている。
 それはハンター達からは「バルバトス」のコードネームで呼ばれており、ソラックスと並んで機械生命体軍団の最多量産型機械兵として知られていた。
 分類上ではMT――それも量産性重視型の機体に入ることもあり、戦闘能力は特筆するべきではないのだが、この機械兵は胸部内にレーザーキャノンを内蔵している為、数を考慮に入れると侮れない攻撃力となる。
 更に、その頭上にソラックスが数機随伴している上、クオレの眼前にもバルバトスの団体と、更にもう1機のガロンが姿を現している。
 それらが、メインストリートの南北二手から、グラッジパペットとデスペナルティの行く手を塞ぐ形で接近して来る。
「片方潰して突破するぞ! 袋叩きにされんのは避けろ!」
 クオレは即座にレーザーキャノンを起動、最初からいたガロンを砲撃した。今度ばかりは横跳びで回避する事も叶わず、上半身を吹き飛ばされガロンは沈黙した。
 一方アニマドはソラックスの姿を認め、ガトリングガンでそれを片っ端から撃ち落した。バルバトスもスピードは同等なのだが、飛行している分、頭上からセンサーが集中している頭部を狙い撃たれる危険性を考えるに、ソラックスの方が厄介
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まろやか投稿小説 Ver1.50