#04:盗賊鴎

えに他のショットガンを駆逐したCWG-GSL-56が握られているだけだが、軽快な動きからライフルやショットガンを見舞う為、クオレはその回避に追われた。
 早速レーザーキャノンの出番か……そう思った直後、砲弾が撃ち込まれて敵ACの右足を砕いた。
 クオレの視線の先では、右手側から前進してきたポットベリーが、バズーカを撃ち放っていた。即座に回避に切り替える敵ACだったが、次の砲弾がコアに当ると大きく前面を抉られて仰け反り、3発目でフォースフィールドジェネレーターを破壊され、地面に倒れた。
 起き上がる前に、ポットベリーは両肩のミサイルを一斉発射、まずデュアルミサイルが敵機の下半身を砕き、続いて垂直ミサイルがコアを捉えた。
 その時、自身の右手側から敵ACが迫っていた事にアルジャーノンは見落としていた。
 即座にクオレは愛機を振り向かせ、マシンガンを打ち放った。
 目前のACは旧型番のYH15-DRONEの頃からECM耐性や防御性能を筆頭に評価の高いMHD-MX/EGRET、自身と同じMCL-SS/RAYとMAL-RE/REX、旧型番LH07-DINGO2時代、中量級2脚でありながら軽量級2脚を凌ぐ機動性を発揮して軽量級2脚を駆逐したMLM-SPINEをフレームに、ショットガンCWG-GSL-56と、エネルギーを収束させた代償として「ダガー」と揶揄されるほど刀身が短くなったが絶大な破壊力を有するCLB-LS-3771を振りかざし、速力任せに突っ込んで来る。
 そいつはグラッジパペットの弾幕を左右に避け、まるで彼が眼中にないかのごとくポットベリーに迫った。
「バック!」
 怒鳴り声に返すより早く、ポットベリーが後退した。
 直後、派手な音と共にAC2機が激突した。ポットベリーが予想外の前進をしたことで、本来なら真後ろへの密着を狙うつもりが、目測を誤ってしまって激突になったのだった。
 激突され、フォースフィールド同士が弾かれ、敵機は後ろに仰け反って倒れた。フォースフィールド出力が強いポットベリーは倒れた敵機を振り向くべく、悠然と旋回した。
 ところが、その敵機は頭上から降り注いだミサイルにより爆発した。
 半壊状態となってもなお立ち上がろうとした敵ACだが、グラッジパペットのマシンガンであっさり叩き伏せられた。フレームが軽量級なうえ、軽量級並みの機動性と引き換えに防御力も軽量級レベルの脚部である。動けないなら即座に撃破されるのが普通だ。
「深追いしたらダメだ」
 落ち着いた男性の声と共に、紫色の重量級逆関節がポットベリーの前方に降り立った。その声から、先程後退を促した声の主が彼だと気が付いた。
「すみません……次から気をつけます」
 アルジャーノンが頭を下げる横で、クオレも彼に気が付いた。
「おお、ジオストラも来てたか」
 ジオストラと呼ばれたハンターの顔が通信モニターに表示された。ACパイロットにしては珍しい、しかし兼業も数多いハンター達では少数だが目に付くインテリである彼、ヘルメットをつけていなければ大学生の如き短い黒髪にメガネと言う姿が目立ち、赤毛で少し逆立っている髪をしたクオレと並んだら、実に見事なコントラストになる事だろう。
 その彼もまた、数あるクオレの友人の一人だった。そしてアルジャーノンとも知り合いだったので、ハンター少年の口調はクオレに向くそれのままであった。
「パルスガンだけで大丈夫か?」
「大丈夫、問題ない」
 ジオストラの愛機・ターボクロックは、MHD-MX/EGRETを頭部とし、旧型番CR-C84O/U
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まろやか投稿小説 Ver1.50