#04:盗賊鴎

じて人間性の悪い面々ばかりが集っており、自由を傘に反社会的な行動や、倫理を逸した行動に走る者も少なくなかったのである。
 中には、己に寄せられる依頼と報酬を独占するべく、将来の商売敵となるであろう者を早めに消してやろうとの欲望や、弱者を叩き潰す事で得られる快楽を満たすべく、後継世代となるはずの新米・後輩レイヴンをも叩く者が居るほどである。
 そんな彼等に後継者など出来るわけがない。
 よって現在、レイヴンはほぼ100%が男性、しかも中高年以上の年を食った者達ばかりなのである。使用するACは老けないが、強化人間でもない限りレイヴンは老けて行くと言う自然の摂理は、レイヴンにも例外なく圧し掛かり始めた。
 時此処に至り、彼等は後継者たる新米の獲得に、やっと腰を上げ始めた。だが、先述の通りアウトローばかりが集うレイヴン達である。真っ当な神経の者が集まる所ではない。
 その為彼らは、バーテックス戦争以降、世に蔓延っている孤児達を集めてレイヴンとして仕立てたのである。
 逆を言えば、ルブラ・コルヴスは15歳以下の少年少女達をも動員せざるを得ないほど追い詰められている事でもあった。
「それに、少年少女ばかりの方が、イェーガー達も手を出し難くなる、と言う考えでもあるんだろ」
 クオレに言わせれば、少年少女が乗っていれば、そのACも破壊しようなどと考えないだろうと言うのが、レイヴン側の考えらしい。
「だとしたら的外れもいい所みたいだけどな」
「全くですね」
 アルジャーノンは不愉快そうに頷いた。
 イェーガーとハンターは、少年少女の乗るぎこちない動きのACを、次々と両手足破壊状態にし、降伏を勧告していた。一部、少年少女じゃない者が乗っている、見るからに動きのよいACもあったが、それは発見され次第、イェーガー達に叩き潰されていた。
 また、どこからの武装勢力からかき集めてきたと見えるMTやACBの姿もある。これらは同業者達が率先して無効化してくれているが、警戒すべきはそちらの方だとクオレは判断していた。
「クオレ、アルジャーノン。ダビッドソン少佐より、友軍の動向について報告がありました」
「何だ?」
 クオレはショットガンで銃撃してきたACに、マシンガンで反撃した。濃灰色と青の暗い機体が、弾幕を振り切る。
「友軍はルブラ・コルヴス本部への突入に成功。対空砲火の要衝を制圧し、そこを基点に作戦を遂行中、との事です。制圧は時間の問題でしょう」
 とりあえず友軍の心配はしなくて良さそうだなとクオレは頷き、正面のACに向き直る。
 敵ACは頭部こそ見慣れたCHD-SKYEYEだが、そのコアをCR-C90U3改めCCM-0X-U3としている。これは一切の付加機能こそないが、型番変更に伴う改良によって実弾・エネルギー両面に対する防御力が大きく向上し、重量級ACのコアに匹敵する防御性能を備えるようになったシロモノだ。おかげでグラッジパペットがマシンガンで銃撃しても、さしたるダメージを与えられない。
 防御力を指摘するなら、他の部位にも同じ事が言えた。
 そのACは実弾防御特化のCAM-01-MHL、更に旧型番のCR-LH92S3時代、重量や防御性能などで「死角のない性能」と謳われたCLM-02-SNSKA1で防御を固めている。しかも、エクステンションに追加装甲CSS-IA-64Sを装備することで、更に防御力を高めていたのだ。
 武器こそCR-WR73R2からMWG-RF/220へと型番が変わったライフルと、旧型番CR-WL88S2時代において、あまりの軽量ゆ
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まろやか投稿小説 Ver1.50