#04:盗賊鴎

、アームズ・フォートと俗称される反アライアンス側の巨大兵器等が暴走させられ、世界中で核兵器や化学兵器、細菌兵器、生物兵器、無人兵器等が放たれ、ベイロードシティやサークシティ等の諸都市が消滅する惨事となった。
 辛うじて生き延びたアライアンス側に対し、バーテックス側は自ら作り出した超兵器の暴走により壊滅し、アライアンスと、彼等の側に立っていたハンター達によって止めを刺された。
 これにより、バーテックスは今度こそ消滅したものの、バーテックス戦争やグレート・フォールを引き起こした直接の原因がレイヴンであった事から、世界各地で極端なアンチレイヴンの嵐が吹き荒れる事となり、やがて逮捕・摘発・民衆による弾圧が相次ぎ、レイヴンは没落していった。
 インファシティも、そうした経緯でレイヴンの活動を禁止していた都市の一つだった。
 急速に滅びの道を辿らされたレイヴンに代わり、バーテックス戦争及びグレート・フォールの負の遺産である機械生命体や、モンスターの殲滅で人々から支持を集めていたハンター達が、彼等に変わって戦場の主役となっていた。
「ここは10年前にレイヴンが活動禁止にされたはず……なのにしぶとく生きてた奴が居たのか……」
「ああ、その通りだ。そのため此処に至り、遂に殲滅を決定したと言うわけなのだが……」
 今まで機械生命体との交戦が続いていた為、レイヴンの始末を後回しにした結果こうなってしまったと、ダビッドソン少佐は苦い顔をしていた。
「まあそれは仕方ないさ。第一、レイヴンよりは機械生命体の方が危険度は高い。核攻撃、細菌兵器散布、ネットワークの破壊と、放置しておくと何をしでかすか分からないから、そちらに比重が行ってしまうのは仕方ない」
 その時、応急修理が完了したとの知らせがクオレの耳に入る。
「さて、少佐、そろそろ俺達も出撃させてもらう」
「済まぬな……わざわざ苦労を掛けさせてしまって……」
「いやいや、ハンターとイェーガー、同業者間でのよしみだ」
 ハンター達の中には、ギルドを結成して根城となる都市周辺の治安を守る者も多かった。そうしてハンター斡旋組織も出来て行ったのだが、その中で最大の規模と活動範囲を誇るのが、国際的武装NGOとして地球政府に正式に認可を受けているイェーガーズチェインだった。
 そして、そのイェーガーズチェインが定めた試験を突破し、正式に所属契約を結んだ戦闘員――狭義では各種の機動兵器を駆るハンターが、今日においてイェーガー(猟師、または猟兵の意)と呼ばれている。
 そして、そのイェーガー達と関係スタッフが主導となる形で、ハンター達は各地で活発な人材交流を行い、同業者間での攻撃を禁止し、組織を超えて共同の依頼に出撃するなど、閉鎖的で排他的・疑心暗鬼のレイヴン達とは対照的なコミュニティからなる協力体制を敷いている。
 人間性に難があるとは言え、その気風に感化されているだけに、クオレ達は一人の同業者として彼等の側に立つ事を決めていたのだった。
「……かたじけない」
「困った時はお互い様ですよ」
 その為に今整備補給をして貰っているんですからと、アルジャーノンはダビッドソン少佐に敬礼した。
 その時、ハンガーのコンディションランプが赤から緑に変わり、整備補給が完了した事を知らせた。
「よし!」
 グラッジパペットは補給完了したMWG-MG/1000とMWG-MG/800を両手に携えた。左肩のMWC-LQ/15も、既に最大数発射可能な状態に戻っていた。
「補給完了!」
「こちらも出撃可能です!」
 
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まろやか投稿小説 Ver1.50