#04:盗賊鴎

ッドソン少佐はアルジャーノンの疑問を否定しに掛かった。
「レイヴン斡旋企業だと連中は自称しているが、実際はただのならず者。インファシティは10年前にレイヴンの活動を禁止している上、連中による我がチェインへの営業妨害も相次いでいる」
 ダビッドソン少佐によると、インファシティのイェーガーズチェイン基地は、これまでにルブラ・コルヴスによって何度も営業妨害行為を仕掛けられてきたと言う。各企業が、最近主流であるモンスターや機械生命体の討伐依頼をレイヴンではなくイェーガーに回したためにレイヴン達は死活問題となり、遂には活躍の場をイェーガーに奪われた報復として攻撃を仕掛けて来るケースも続出していた。
 そして3ヶ月前にインファシティ支部の一角がレイヴンの放ったミサイルによって破壊され、整備士12名が死傷。更に依頼帰りの女性イェーガーが誘拐された末に強姦・殺害されたのを契機に、遂にイェーガーズチェインはレイヴンへの報復攻撃を決定。選りすぐったイェーガー達をルブラ・コルヴス本部へと送り込み、それを察知したルブラ・コルヴスもレイヴンをインファシティ基地に向かわせ、イェーガー・地元ハンター連合と交戦状態になったと言うのが事の顛末だった。
 ルブラ・コルヴス本部攻撃部隊が出撃したのは今から4時間前の事。クオレとアルジャーノンがファシネイター追撃に向かった直後だった。
「やれやれ、ここでもか……」
 クオレは溜息をついた。
「クオレ殿は知っているのか?」
「レイヴンがイェーガーやハンター組織を攻撃しているってのは、あちこちで聞いた。活動が制限されている中で市民に八つ当たりして、更に評判を落とし、結果取り潰される事も」
 バーテックス戦争が終結してからと言うもの、地球全体で反レイヴンの風潮が高まり、現在ではレイヴンの活動を法で認めないと規定してる地域が多数派である。
 何故なら、15年にも及んで続いたバーテックス戦争の火付け役が、他ならぬレイヴンだったからである。
 それと言うのも、レイヴンたちが「ジャック・Oの意思を継ぎ、レイヴンによる新たな秩序を創出する」事を旗印に蜂起し、各地でアライアンスを襲撃し始めると、それを利用して勢力図の塗り替えを狙った新興企業レイレナードや、線化拡大をビジネスチャンスと見なした軍需企業GAやローゼンタールがアライアンスを脱退してバーテックス支援を開始、いつしか世界規模の戦争に発展したのである。
 最初は、レイヴン達はジャック・Oの遺志を継ぐ形で戦っていたが、戦争開始後数年もすると、バーテックスのレイヴン達は、ローゼンタール、GA、レイレナード、アクアビット、有澤重工等の傘下に治まる形になり、更に反アライアンス側の武装組織やテロリストまで引き入れた結果、レイヴンによる武装組織であったバーテックスは「反アライアンス連合軍」の形に変容して行った。
 バーテックスのレイヴン達は、後ろにいる企業の依頼に基づいて戦闘行為を繰り広げ、時に攻撃の報復として民間人を虐殺するなどその行動がエスカレートして行った。
 この戦争は15年続いた結果、当時40億人を数えていた世界人口の3分の1が失われて終戦を迎えた。数名のレイヴン達によって、大崩落(グレート・フォール)が発生した為である。
 最初は、世界に絶望し、それを破壊しようと目論んだレイヴン達によって、プログラム兵器がばら撒かれた事から始まった。しかしその数時間後には世界中のコンピュータ・ネットワークがエラーを起こし、遂には軍事システムまでも暴走に至らしめた。結果、両陣営の戦略兵器
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まろやか投稿小説 Ver1.50