#03:蟲の襲来

ァイアーボールを繰り出す。クオレも激しく愛機を切り返し、回避に徹しながらも攻撃の隙をうかがった。
 その中で、突如飛来したミサイルがハエ1匹を木っ端微塵にした。
 ミサイルの主はポットベリーだった。本来両肩を占有するはずのCWX-DM32-1と、MWX-VM20/1を左右に一つずつ積み、そこからミサイルを1発ずつ交互に撃って援護を始めたのだ。これにより、立て続けに3匹のベルゼバブを撃墜し、残る4匹には回避行動を取らせた。そのうち1匹はグラッジパペットがマシンガンで撃墜した。
 バーテックス戦争後、FCS等各種システムに調整が加えられ、現在では左右で同じ武器を持ち歩く事や、肩武器の同時発射、籠手のように腕に装備するタイプの火器と手で持つ銃器タイプの同時装備、両肩を占有する武装の片方装備等が可能になっている。
 これにより、本来は右腕装備だったWR05L-SHADE改めMWG-XCW/90の二挺装備や、グラッジパペットのようにレーザーブレードと左腕用銃器の同時装備、右肩にかつての両肩装備の片割れを積みながら左肩にレーダーを装備する等、24時間戦争時代では不可能だった芸当が、当たり前のように可能となっていた。
 勿論、ポットベリーとてその例外ではない。
「背後より巨大生物接近!」
 ハインラインの警告にアルジャーノンは即座に反応、連動ミサイルMWEM-R/36も併用し、両肩のミサイルを一斉発射した。
 合計8発のミサイルを目で追った先に、クオレはまたしてもランドワームが出現し、地面に出たり入ったりしながらこちらに迫っているのを確認した。
 直進した6発のミサイルはランドワームの外皮に着弾し、残る2発は頭上からランドワームに直撃した。頭近くが抉られ、派手に体液をばら撒きながら大ミミズは地面に潜り、そのまま逃走した。
 大ミミズが去ると、ミサイルに追い回されているベルゼバブを尻目に、ハンター2人はオーバードブーストで逃げ出した。あのハエをミサイルで落とせるとは思えないが、逃げ回っている間は自分たちには向かってこないだろうとアルジャーノンは確信した。
「クオレさん、何か追って来てますよ!」
「くそッ、もうハエが戻って来たか」
「違います!」
 振り向いたクオレの先に、ベルゼバブの姿はない。あるのは地面の盛り上がりが3つ。それが、またしてもハンターたちに迫っている。
 しかし、上がっている土煙は随分と大人しい。
「小さいな。グラトンワームか?」
「多分そうでしょう。僕がやります、クオレさんは援護をお願いします」
 分かったとクオレは頷き、ポットベリーの背後に愛機を移動させた。
 直後、土煙を上げてグラトンワームが飛び出してきた。ただしその全長は5メートル前後と、先ほどのランドワーム達をそのまま小型化したような外見である。だが、小さくとも立派な捕食用の牙がある。
 ポットベリーはすぐさまMWX-DM32-1を繰り出し、最初のグラトンワームを撃破。続く2匹目はインサイドハッチを開放し、内部に収納されたバルカンで迎え撃った。両肩から繰り出された小口径機銃の弾幕など、巨蟲にとっては苦もないはずだったが、そのミミズは蜂の巣になり、悲痛な断末魔を上げてポットベリーの足元で息絶えた。こいつらの表皮は、遥かにでかい同属と違い、それほど強靭ではなかった。
 最後の1匹はポットベリーに飛び掛ろうとした所、グラッジパペットのマシンガンで撃ち落された。
「何万に一つの可能性とは言え、大きくなる前に倒せて良かった」
 全くだなとクオレは同意した。
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まろやか投稿小説 Ver1.50