#03:蟲の襲来

てやってくれ」
 クオレは3年前、ハンター組織主催のACバトル大会でインクリアーと手合わせし、あと一歩の所まで追い詰めて置きながら判定負けを喫していた。その記憶がまだ残っているので、お前が居るなら大丈夫だろうなと、偽り無しで言ったのだった。
「クオレ、アルジャーノン」
 ハインラインが二人を呼んだ。
「お話の途中で悪いですが、ヘリが君達を発見しました。接続し、当領域を離脱して下さい」
 その言葉どおり、クオレの耳にはローター音が響き、遠くには機動兵器輸送用のヘリがホバリングし、二人の接続を待っていた。ぶら下げられているスティンガー2機は、ヘリの護衛を担当させられたハンターであった。
「此処でサヨナラか……」
「そんな寂しそうなツラすんなよ、機会があればまた会えるからな。武勇伝とかはその時にでも、ゆっくり聞かせてもらうとするぜ」
「また、お会い出来ると良いですね。それでは、僕等はこれにて失礼します」
 クオレとアルジャーノンはインクリアーと別れ、来た道を急ぎ戻ってヘリに接続した。インクリアーはヘリに回収され離陸した旧友を見送ると、レギュリナを操ってスワローテイルと運送業者達の後を追った。
「イェーガーズチェインからの命令により、これより急ぎ帰還します」
 どう言う事だとヘリパイロットに返そうとしたクオレだったが、ハインラインの顔が逼迫していたので、口を噤んだ。
「レイヴンとイェーガーズチェインが交戦状態に突入、周辺ハンター及びイェーガー達に協力要請が届いています。2人は帰還次第、燃料・弾薬を補給して再出撃願います!」
 畜生とクオレは悪態をついた。仕事帰りで疲れているって時に、よりにもよってレイヴンが襲来して来たか。
「分かりました」
 アルジャーノンは即座に了解していた。
「分かった、援護に向かう。燃料・弾薬を準備するよう頼む」
 後輩に遅れ、クオレも援護要請を受諾。ただしこれは、個人的感情によるものではない。アルジャーノンが援護要請を受けた事によるものだった。
 クオレ一人だけの時だったなら、この要請は受けなくても良い所だったのだが、今はアルジャーノンがいる。暴言の多いクオレだが、彼には13歳の少年を戦場に放置して死なせる程の薄情さは備わっていないのである。
「ハインラインさん、応急修理もお願いしたいのですが」
「了解、しかしハンガーが帰還機で塞がっているかも知れません。現在の状況を問い合わせた上で手配は致しますが、少々時間が掛かります、ご了承を」
 35歳のハインラインは、20歳のクオレや13歳のアルジャーノンに対しても敬語を使っていた。
 そのハインラインは即座に手元のパッドを叩き、イェーガーズチェイン兵站部へとハンガーの利用可能状態を尋ねると共に、補給要請の打診に入った。  ヘリが着くまでまだ1時間はかかるだろうから、それまでにハンガーの一つや二つ空く筈だとクオレは内心思ったのだが、口には出さない。変な事を言ってオペレーターの信用を損ねるべきではないと見ていたのだ。年下の自分達にも敬語を使う程の人格者である事を知っているから、尚更と言えた。
 しばらくヘリに揺られているうちに、ハインラインから再び通信。
「クオレ、アルジャーノン。双方の補給許可が下りました。帰還次第、第2ハンガーのCブロックに向かって下さい。そこで補給と応急修理を行います」
「了解……助かります、バズーカが弾切れになっていたもので……」
「俺もレーザーキャノンが後2回しか撃てない有様だからな……」
 二人が返答する間にも、ヘリはイェ
[2]前へ|[3]次へ
ページ移動[1..8 9 10 11 12 13]
[7]TOP [9]目次

まろやか投稿小説 Ver1.50