#02:ラストレイヴンをブッ潰せ!

て環境が崩壊、現在は荒れ放題となっている。
 その荒れきった大地にグラッジパペットは立っており、周辺では紫と灰色のACが、いくつも残骸となって転がっている。いずれも四肢が叩き潰され頭部もなくなっており、CR-A92XS改めCAL-66-MACHや、CR-H98XS-EYE2改めCHD-MISTEYE、WB16PU-LAMIA2改めMWC-XP/75と言ったものが周辺に散乱している。
 実際、それが1機分の量の残骸ではない事、それが全てファシネイターの残骸である事に、ハインラインはすぐに気が付いた。
「こちらでも残骸を確認しました」
 ハインラインは、遠く離れたオペレーションルームのモニター越しに戦場を見ているが、グラッジパペットのカメラ映像は、衛星通信によって彼自ら撮影したように分かる。
「後はアルジャーノンだな。あいつが上手く行ってるか……」
 全てを口にする前に、レーダー上に味方機を示す反応が出現した。前方すぐの所を、別のACが向かって来ている。
 目の前の小高い丘を越え、クオレはその姿を検めた。
 旧型番のH10-CICADA2のころから各種機能の充実振りと対ECM性能で定評のあるMHD-MM/007、重量級だがMCL-SS/RAYと並ぶオーバードブースト出力を備え、しかも堅牢な装甲を纏っているという点において旧型番C06-EOSから大して変化のないMCH-MX/GROA、A04-BABOONから型番変更されて以降重量級腕部のスタンダード品となったMAH-RE/GG、旧型番LH13-JACKAL2の頃から2脚最高の防御性能を堅持し続けるMLH-SS/RSをフレームとしている。
 その、見るからに大柄で鈍重そうなACは、旧型番CR-WH05BPのころに一時アリーナで使用禁止が是非されたバズーカCWG-BZH-40と、これまた重い武器を携えている。左腕にはナービス戦争からバーテックス戦争終戦後まで殆ど見向きもされなかったエネルギーシールドWL04ES-GIGASの改修品・MES-SS/011が据え付けられている。
 小豆の様な色合いをしたそのACのディティールが分かった時には、通信モニターはグレーの頭髪と青い瞳を持つ、まだあどけなさの残る少年の顔を映し出していた。
「アルジャーノンです。こっちも終わりました!」
 どうやらそのようだなとクオレは頷いた。
 そのACの姿から、何も知らない大抵の人は屈強な大男をイメージしがちである。そして、その操縦者も先述したような大男か、荒くれ者のレイヴンを思い浮かべがちであり、少年が乗っているなどとは思っていないだろう。
 だがそれはとんでもない偏見であった。何故なら、その重装甲AC「ポットベリー」は、機体イメージや、太鼓腹を意味する機体名とは全く釣り合わない、しかもまだ13歳の少年・アルジャーノンが操っていたのだから。
「ファシネイター2機、ストラックサンダー、オラクル、バリオス・クサントス各1機、全部撃破しました!」
「よし、上出来だ」
 ポットベリーの後方に、嫌なほど見慣れたファシネイターの残骸に混じって、大掛かりな両肩装備のキャノン砲を空に向けて炎上している逆関節ACと、リニアライフルを携えている事が分かる以外は原形を留めぬほどに叩き潰された青いAC、そしてコアを割られた白い4脚ACが転がっていた。
 それを確認し、クオレはアルジャーノンに親指を立てた。
「本当はデバッガーが数機いたんですが……」
 どうしたとクオレは尋ねる。
「逃げて行きました」
「そっちもか」
 自分のところに現れたソラックスとデバ
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まろやか投稿小説 Ver1.50