#02:ラストレイヴンをブッ潰せ!

ある。
 しかし、防護服でも無力化出来ないパルスを発される危険性があるため、バリア発生装置の調査・解析は本日に至るまで殆ど行えず、ゆえに詳しい事は分かっていない。
 よって、未知の部分と危険な要素が余りにも多過ぎるため、人類側が用いようにも出来ないのが実情であった。
 デバッガーの場合は発生装置自体が小型である為、マシンガンやライフル程度の弾しか無力化出来ないのだが、多くのACパイロット達が用いている武器を無力化出来る事で、ACの優位性を失わせる事に成功している。
 何故ならACパーツは総じて高値で、状況に応じた換装を行うには相当の資金力が必要となる。よって、殆どのレイヴンは堅実かつ汎用性の高い実弾ライフル及びエネルギーライフル、マシンガンを好む傾向にあったからだ。
 24時間戦争後数年間はそれが特に顕著で、AC全体の戦闘速度向上により極端な速度至上主義を招き、「攻撃が当らない」「肩装備全般の価値が低下」「中量2脚至上、重量級機体全般は役立たず」と言う現象が起き、一撃系武器の価値が低下。逆にマシンガンやライフルが多くのACパイロット達に使われた。
 その結果、中量2脚でライフル二挺と言うACが氾濫し、「アセンブリによる戦局対応」は有名無実化したのだった。
 しかしそれも、機械生命体の出現によって終焉を迎えた。彼等のバリアによってライフルやマシンガンが通らなくなり、これらのACによる戦果は激減、逆に撃破されるACが続出した為であった。
 酷いものだと、機械生命体側の機動兵器1機によって、レイヴンの駆る「ライフル二挺の中量2脚AC」が30機も殺戮されたケースがあったほどである。
 しかも、更にACよりも低コストで量産可能で、しかもACと同等以上の性能を発揮する新型機動兵器の台頭により、企業や政府軍でACが次々に機種変更・退役させられる憂き目に遭い、ACパーツ市場は縮小。
 ついには、ACはその存在価値さえ、危うくなるまで至ったのである。
 時此処に至り、ACパイロットとメーカーは「パーツ数は氾濫したが実際に使われるパーツはごく一部だけだった」という、有名無実化したアセンブリとそのパーツについてを、根本的に見直さざるを得なくなった。
 その結果、近代化改修と再設計、部品数減少によるローコスト化などが行われ、また機械生命体や野生化した生物兵器と言った多種多様な外敵へと対応する為、様々なアセンブリのACが、実験的に世に出て来る事となった。
 ただ、AC使用者のイメージが強いレイヴンもバーテックス戦争を境に衰退した今、人類存続を脅かす存在を狩るハンター達が彼等に取って代わって、ACの最たる使用者として認知されていた。
 このハンター達が各地でACを運用し、平原や荒野、水辺等の戦場や、敵の種類に合わせたアセンブリを愛機に施したのだった。例えばフロート脚部は水辺のほか、有脚ACでは足を取られて動けなくなる砂漠や湿地・雪原等でも運用され、硬い表皮や装甲を持つ相手には、嘗て疎んじらていた大火力のキャノンやミサイル、更にはロケットが投入されていた。もちろん、素早い相手を狙うべく命中率に優れたライフルを従来通りに携えたり、どこでも戦えるようにバランス良く武装を施したACもある。
 皮肉な事に、レイヴンの象徴であるACの「多彩なアセンブリによる戦局対応」は、レイヴンを蹴落とす形で戦場に出現したハンター達によって復活する事となったのである。
 そして、今のクオレもそんなハンターの一人だった。
 ACの歴史は、常に変容する戦場の歴史と表裏一体であり、グラッジパペットも間違いな
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まろやか投稿小説 Ver1.50