#02:ラストレイヴンをブッ潰せ!

座に愛機を離脱させた。
 だが、離脱中に右肩のレーダーをソラックスに撃たれた。幸い完全破壊とまでは行かなかったが、レーダーロッドが折れ、レーダーコンソールに砂嵐が生じる。
 逃げるグラッジパペットを、デバッガーはソラックス達を従え、執拗に追い掛ける。その背に背負ったCWC-CNG-300やレーザーキャノンMWC-LQ/35、中型ロケット砲CWR-M70と言った武装が、憎しみに駆られるように、或いはクオレの血を味わえる事を歓喜するかの如く繰り出される。
 これ以上食らうかと、グラッジパペットは、それを巧みな機動で回避していた。ブースターは常に吹かしっぱなしの状態だったのだが、ラジエーターの性能な大幅強化が幸いし、機体温度が上昇する事はなかった。
 ナービス戦争時代やバーテックス戦争中期にかけてのACは、ブースターを吹かし続けた結果、ジェネレーターの自己熱も相まって、エネルギー出力低下を招いて動けなくなるケースが続出していた。
 これは熱量が危険域に差し掛かると安全装置が働き、自動でエネルギーが低下して動けないようになっていたもので、機体が熱に耐えられてもパイロットが耐えられないと言う事で、取られた処置だった。
 しかし、戦場ではどうしてもブースターを多用しなければならず、結果としてブースター発熱による機体温度上昇で安全装置が作動し、動けなくなった所を狙い撃たれてACが大破、逆にパイロットが戦死するケースが続出した。
 そのためこの安全装置はパイロット達の大不評を買い、25年ほど前を境に撤廃された。そのため現在のACは、熱暴走が起きても引き続きブースターを吹かしたり、エネルギー兵器を使ったりする事が可能だ。
 よってグラッジパペットには――否、現在のACには、ナービス戦争時代のACのように「ブースターを吹かし過ぎ、自熱でエネルギー出力が低下して動けなくなる」と言ったマヌケな事態はまず起こらない。
 そのACに対し、無人兵器群が執拗なまでに銃撃を見舞い続ける。その先頭にいるのは、AC用肩武装を乱射するデバッガーだ。
「ちっ、うるせぇハエトリロボだ」
 デバッガーを扱き下ろしながら、銃撃をいなすクオレは迫って来たソラックス4機をマシンガンで撃墜。入れ替わりで迫って来たハエトリロボことデバッガーに狙いを定める。しかし、中型ロケットとレーザーキャノンの十字砲火にあったため、攻撃を中止。オーバードブーストで更に距離を離した。
 大崩落以降、世界には生物兵器が野生化した成れの果てが跳梁しているが、それらは虫(バグ)型が多い。デバッガーは本来、そうした野生化した生物兵器を駆除するための無人戦闘メカだった。
 地下都市時代から用いられていた無人ガードマシン「ナースホルン」がその原型であるが、脚部ホバー内臓や上部ハードポイント増設等の改修が施され、その上部ハードポイントにAC用武装パーツを装着可能な為、ターゲットの種類に合わせた運用が可能な機体として活躍していた。
 だが、それが機械生命体軍団の尖兵に身をやつしている。
 所詮無人MTの部類に当たるため、単体ではさほどの脅威ではない。だが、複数で行動してAC用武器を撃たれると非常に厄介な相手であった。出来る事ならそれを優先的に排除したかったが、ソラックス達がレーザーやプラズマを撃ちながら迫って来た為、デバッガーだけに構っていられなかった。
 だが逃げているうちに、デバッガー3機が機械生命体の群れから突出した。
 これは好機と、グラッジパペットは即座にマシンガンを撃ち込みに掛かったが、着弾の瞬間、機体周辺に泡を思わせる緑
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まろやか投稿小説 Ver1.50