#02:ラストレイヴンをブッ潰せ!

接触(インストール、ないしダウンロード)したことによって暴走、独自の進化を遂げて人類に攻撃を仕掛けるようになったものである。
 当初、彼らの出現に際しても、人間達は「SF小説から出た嘘か何かだろう」と、誰もが相手にしなかった。非現実的過るので、誰かが巻いた根も葉もない噂だろうと思ったのだ。ただしそれには、「機械が人類に対して反乱を起こすはずがない」と言う楽観と、「起こして貰いたくない」と言う恐怖も含まれていた。
 しかし、その直後にコンピュータネットワークが原因不明のシステムダウンに見舞われ、更にその後、各地の無人兵器が暴走し、バーテックス戦争を生き延びた諸都市を攻撃し出すに及び、それが嘘ではなくれっきとした現実であると認識せざるを得なくなった。
 そして、機械生命体達――厳密には彼らの大本となる人間のデッドコピーが、全人類に宣戦を布告、同時に完全殺戮による現生人類ホモ・サピエンス種の絶滅と、人類文明の徹底的破壊による根絶を宣言。制御下に置いたプラントで独自戦力を開発・量産し、その矛先を全人類に向けた。
 一方では、「超干渉」と呼ばれる能力によって各地の無人兵器や施設群を乗っ取り、遂には寝返らせて人類に攻撃を仕掛けた。そして、その中には細菌兵器、化学兵器、生物兵器、そして核兵器など大量破壊兵器も含まれていた。
 ACも例外ではなく、CR-H05XS-EYE3やYH15-DRONEと言った超高性能頭部にシステム制御を依存していたACは、例外なく乗っ取られてしまったのである。結果、アリーナにおいて、これらの頭部パーツを多用していたランカーACが全て乗っ取られ、下位のランカーを虐殺したと言う事件も多発した。
 以後、時に都市丸ごと一つが消滅する程の大量破壊・虐殺が展開され、彼等と人類の間で一進一退の攻防が続いていた。
 その戦いは、今日――西暦3097年4月6日現在も、世界のどこかで続いていた。
 ラストレイヴンとそれに関する事象を叩き潰した今、憎悪も何もなく、ただ生き延びる事だけを思い、クオレはファイアーボタンを押し込んだ。飛行する胴体だけの甲冑――ソラックスの1機が、蜂の巣にされて爆発した。
 ソラックスとデバッガーは短照射型のレーザーを繰り出して、一斉に反撃に転じた。一部のソラックスはぶら下げているプラズマキャノンを繰り出した。
 クオレは集団の周囲をオーバードブーストで大きく迂回しながら、左右に機体を振り、マシンガンを撃ちまくってソラックスを次々に撃墜する。
 ACの上半身程度のサイズしかないソラックスは機械生命体達が独自に作り出したMTで、速力・機動力が標準的な中量級2脚程度である以外、特筆するべき性能ではない。だが生産性には優れており、凄まじい数で行動している。
 今は距離を保っていられるからよいものの、集団で取り囲まれてレーザーを撃たれれば、ACなどあっと言う間に破壊される。しかも、ソラックスのプラズマ砲はAC搭載用キャノンにも匹敵する出力を有する、剣呑なシロモノであった。
 数の暴力を前にしては、ACと言えど勝ち目は薄かった。クオレからすれば、本家本元の機械生命体達は、名ばかりのドミナントに落ちぶれたジナイーダよりも遥かにタチの悪い強敵集団なのである。
 だからこそ、クオレは距離を取り、ソラックスの頭数を減らす作戦に出ていたのだ。
 だが、無視は許さんとばかりに3機のデバッガーが迫り、昆虫の様な機体上部に据え付けられたガトリングガンを発砲した。AC用武器パーツCR-WB69CGことCWC-CNG-300がその正体だと分かるや、クオレは即
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まろやか投稿小説 Ver1.50