#02:ラストレイヴンをブッ潰せ!

、バーテックス戦争の主犯格とされてしまい、結果「レイヴン界史上最悪の愚か者」のレッテルを貼られる事となったジャック・Oが、復活させられていた事を意味していた。
 ジナイーダやその搭乗機と同じ様にして。
「テメェも同罪だジャック・O! このクソッタレのA級戦犯野郎が!!」
 青年の怒りと共に、グラッジパペットはMWG-MG/800を手放し、オーバードブーストで一瞬のうちにすれ違った。MLB-HALBERDが鮮血の如き紅蓮の刀身を生成したのが見えたときには、フォックスアイの右腕は切り裂かれていた。
「テメェがバーテックスだなんてクソッタレ連中を世に出したせいで、この世界も俺の人生も滅茶苦茶になっちまったじゃねぇか!」
 鈍足で動きの遅いフォックスアイは、クオレにとっては格好の餌食だった。マシンガンやレーザーキャノンを使うまでもなく、今となっては大した防御力ではないC04-ATLASの装甲だけを狙って切り裂く。
 MLB-HALBERDは長刀身レーザーブレードとして知られているが、クオレはその出力を調整し、刀身を通常の半分程度のサイズにした上でフォックスアイのコアへと突き刺した。刀身こそ短いが、その出力は集束されており、元の何倍もの威力を持ってフォックスアイのジェネレーターをぶち抜いた。
「全く、忌々しいッ……」
 最初のフォックスアイが倒れる前に、もう1機のフォックスアイも斬りつけられた。C04-ATLASの装甲や内部機構が切り裂かれ、痛め付けられる。
 周辺の機動兵器は、グラッジパペットを仕留めようと各々の武器を撃ち放った。だがクオレはフォックスアイを盾にし、彼らの猛攻を防いだ。そして、その上で、フォックスアイを後ろから滅多斬りにした。
「もういっぺん地獄に逝けぇぇぇぇぇッ!!」
 ジャック・Oが何を考えてバーテックスを設立したのか、今となっては分からない。しかし、クオレにとっては、ラストレイヴンとその時代――24時間戦争とバーテックス戦争にまつわるものは、例外なく憎悪の対象になっていた。
 全ては、レイヴン史上最低最悪の女ジナイーダに、ドミナントやラストレイヴンと言う、忌まわしいにも程がある称号を与え、名を轟かせてしまった結果、でかい面で破壊活動させるようになったからと言う事に起因している。
 そして、そのきっかけを作ったと言う事で、ジャック・Oもまた、クオレの激しい憎悪を買ったのであった。
 完全に機能停止したフォックスアイを遺棄し、グラッジパペットはオーバードブーストで一端距離を離した。ACの範疇にない機動兵器たちが、即座にその後を追う。
 すれ違いざま、クオレは彼ら機械軍団に共通するマークが刻まれていたのを見た。
 機械達には皆、「赤地の菱形に黒い地球」のエンブレムが刻まれていた。クオレの記憶領域では、このマークは見慣れたものであり、動揺はない。
「ソラックスにデバッガーか……デバッガーの方は機械生命体に乗っ取られてるのか」
 オーバードブーストを停止し、MWG-MG/1000を構える。
「本家本元の機械生命体が相手となると、慎重に掛からないとな……」
 クオレは呼吸を整え、迫り来る無人兵器と対峙した。
 機械生命体と呼ばれている彼等は、今から21年前に発生した“大崩落(グレート・フォール)”と呼ばれる世界崩壊を境として出現するようになった、「人の手を離れて活動している無人兵器」の総称だ。
 もともと彼等は、人工知能やリモコン等による遠隔操作によって動く人類側の無人兵器だった。それが「世界に絶望した人間のデッドコピーデータ」を内蔵、もしくは
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まろやか投稿小説 Ver1.50