#02:ラストレイヴンをブッ潰せ!

ッガーも逃げたと、クオレは話して聞かせた。
「全く……彼等は何回殺されれば懲りるのだろうか?」
 ハインラインが溜息をついた。
「それに機械生命体は何を考えているんだ?」
 機械生命体は独自の戦力を保有する一方、24時間戦争に加担したジャック・Oや、ラストレイヴンとなったジナイーダ以下22人のレイヴン達とその搭乗機を再現し、それを量産しては人類側に差し向けている事でも知られていた。
 その理由は分からないが、再現された24時間戦争の加担者達が乗る機体は、当時の性能のまま出現している。
 しかし、36年と言う時の流れは残酷だった。
 死んで甦らされた彼等は当時のままでも、クオレやアルジャーノン以下、現在のACパイロット達は当時と見た目こそ大して変わらないながら、性能面では進歩・改良・改修されたACとそのパーツを操って戦う事が出来る。その為彼等との戦力差は歴然としており、アルジャーノンの様に、1人で複数機を相手取る事も十分に可能となる始末だった。
 ジナイーダもその例外ではなく、次々とクオレ達ハンターに狩られていったのであった。
 当時から性能は変わっていない24時間戦争の主役達だが、相対的に見れば大幅に弱体化して復活させられていたのである。それこそ比較のしようがないほどに。
 その結果、フォックスアイやファシネイター、オラクル等、レイヴンなら誰もが知る名機達は機械生命体側によって復活・量産されはしたものの、人類側戦力――特にハンターによって大量虐殺されるまでになってしまい、クオレからは「乱獲」とまで言われる始末になっている。
「ハッキリ言って、ただの嫌がらせにしか思えねぇ」
 クオレが不快感を露わにした。
「第一、奴等、性能強化しようと思えば幾らでも出来るだろうに、何故ACにそれをしねぇ?」
「私には分かりません」
 ハインラインはつれない返事を事務的に返した。 
「陽動でもするつもり、と言う可能性はありますが……それにしては敵反応がなさ過ぎます。周辺エリアのどこかが襲われていると言う話も、今の所入っていません」
「だとすると嫌がらせか」
 クオレの顔がまたも不快になる。
 そもそも、一切の核兵器を人類側から奪って手中に収めたため、人類を根絶しようと思えばいつでも出来るはずの機械生命体である。1秒後にでも核兵器乱舞で人類を世界諸共絶滅出来る筈であるのだが、それをしない当りから、機械軍団は人類を見下し、弄んでいるのではないかとクオレは感じ、不快感を覚えていた。
「何にしてもこんな所に長居はまっぴらだ。と言うか残骸だろうがあのロクデナシド畜生女の、クソッタレなACなんざ見たくねぇ」
 いつの間にか怒りの矛先は、機械生命体達からジナイーダとその搭乗機へと向けられていた。
 これに限らず、クオレの怒りの矛先は常にジナイーダへと向けられているのだ。仮に向けられていなかったとしても、些細な事で矛先が変わり、1秒も後にはジナイーダ憎しの暴言が飛び出すようになる。
「ハインライン、輸送機か何かを手配してくれ」
「了解、輸送機が着陸できる場所がないので、ヘリを手配します。二人は当領域を離脱し、輸送ヘリと合流願います」
 ハンター2人は了解し、フォックスアイやファシネイター、その他24時間戦争時代のACのバラバラ死体が散らばる戦場を後にし出した。
14/08/07 13:04更新 / ラインガイスト
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