#01:憎しみの「心」

テメェと対峙するって背景にな」
 家族を殺されてから12年後、少年は成長してACパイロットとなり、幾多の戦いの果て、遂にその大願を成し遂げようとしていた。
 既に24時間戦争からは36年が経過していた。その間、ファシネイターのアセンブリは「最強」から変化しておらず、相変わらずレイヴンを筆頭に、大量のACパイロット達を葬り続けていた。
 だが、その最強ACにも限界が来ていた。
 何故なら、AC、即ちアーマード・コアは状況に応じてコアを中心にパーツを換装して戦局に対応したり、あるパーツに新しく上位互換機種が登場した場合、それへと組み替えることで強化する事が欠くべからざる基本であったのだが、ファシネイターのアセンブリは36年間、インターネサイン中枢で初披露となった決戦仕様から全く変化していなかった事で、それを怠っていたのだ。
 一方、成長した少年――贅肉のない177センチの身長に育ち、黒いベルトとハーネス類、紅蓮のパイロットスーツを纏い、現在はクオレを名乗る彼のACは、見た目こそ24時間戦争当時から使われているパーツと変わらない。頭部パーツH11-QUEEN、コアパーツC03-HELIOS、腕部パーツA06-LANGUR、脚部パーツLH10-JAGUAR2と言うフレームは、24時間戦争はおろか、その後の15年間に及ぶバーテックス戦争でもさほど注目されず、コアに至っては「コンニャク」と揶揄された位の脆い実弾防御性能だった。
 だがその性能は、36年間に及ぶ技術の進歩に伴って変容を遂げていた。
 機体表面が“フォースフィールド”と呼ばれる強化型防御スクリーンに覆われるよう、フレームパーツ全てにフィールド発生機構が内臓されたのだ。
 これによって実装甲と実弾とエネルギー、両タイプに対する防御スクリーンが基本となっていたACの防御性能は飛躍的に上昇、特にコアの実弾防御性能は他の軽量級コアと比較しても遜色ないレベルに達している。
 更にオーバードブースト出力の強化とエネルギー効率改善が両立され、このコアは最高のオーバードブースト性能を獲得するに至った。他のコアも改良や改修がなされた為、全体的に見て薄防御である事に変わりはないのだが、少なくとも24時間戦争時代の同コアとは比較にならぬポテンシャルを実現し、多くのパイロット達から人気を獲得している。
 脚部パーツも材質の強度上昇を筆頭に数々の改良が施され、更に再設計までなされた結果、軽量2脚とは思えぬ積載を獲得している。結果、LH10-JAGUAR2は、軽量級2脚から中量級2脚へと格上げを果たし、積載こそ中量2脚全体から見れば最低水準ではあったが、旋回性能、防御性能が良好で、重装備を諦めれば十分主力になりうるとの評価までもされていた。
 しかも、型番までもが変更されており、例えばクオレの愛機「グラッジパペット」の頭部H11-QUEENは「MHD-MX/QUEEN」、C03-HELIOSは「MCL-SS/RAY」、A06-LANGURは「MAL-RE/REX」となっている。
 LH10-JAGUAR2に関しては当初「MLL-MX/EDGE」となっていたが、中量2脚へのカテゴライズ変更がなされた結果、「MLM-MX/EDGE」と微妙に変化した。
 その両手にはマシンガンが2丁握られ、その総弾数は1800にも達している。しかも、その半分以上はまだマガジン内に残っていた。更に、左腕にはWL14LB-ELF2からMLB-HALBERDに型番を改められた長刀身レーザーブレードが据え付けられている。
 他にも変更・改良された点は数
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まろやか投稿小説 Ver1.50