「繰り返しお伝えします。先程ミラージュ広報部の発表によりますと、レイヤード第一層の水中航行型巨大兵器が、レイヴンの手によって撃破されたという情報が――」
アストライアー宅のテレビは、先程からミラージュ系列の放送局が放送するニュース速報を垂れ流していた。
「海産物を仕留めたのか……?」
アストライアーは感嘆した。海産物の姿をニュース速報で見たとき、あれを仕留められるのかと疑問に思っていたのだ。
その「海産物」は、管理者所有と思しき巨大兵器、コードD-C101-Dの事である。ただ、型番で覚えるのも面倒である為、水中を移動する事からいつの間にか「海産物」呼ばわりされる事となった。
ちなみに、このコード自体はユニオンから公布されたコードである。当初ミラージュは、神話上に登場する巨大な海の怪物に因み、「リヴァイアサン」や「レヴィアタン」とか言うニックネームで呼んでいたが、今は型番での表記になっている。
「あれを破壊したレイヴンは誰だろうか……?」
アストライアーにミラージュ社からのメールが来たのは、そう考えていた時の事だった。
先程から意味もなく起動させていたPCから新着メールが届いた事を知らせる効果音が鳴り、アストライアーは弾かれる様にPCに向かった。
どうやら、かなり重大な依頼らしいことが、その文面から窺い知れた。
送信者:ミラージュ
件名:依頼
ニュースでレイヴンがあの巨大兵器を破壊した事は、
君ももう知っているだろう。
だが、ユニオンはそのレイヴンの力に目をつけ、
管理者を破壊しようとしている。
そこで、我々ミラージュ上層部は決断した。
そのレイヴンをイレギュラーと認定し、排除する事を。
積もる話もあるだろうが、君にはそのイレギュラーの
排除に協力してもらいたい。
目標となるレイヴンの名は「アキラ=カイドウ」だ。
偽の依頼で彼を地下遺跡に呼び出した後、
此方から派遣したリップハンターやファンファーレと共に、
奴を排除する手筈になっている。
また、この作戦では不測の事態を考慮し、
君以外の複数のレイヴンにも協力要請を出す。
彼等と協力して依頼を遂行して欲しい。
作戦決行は3日後の2月19日の18:00を予定している。
報酬は、最低でも200000c。
他のレイヴンがアキラに付いていた場合は、撃破した時に
更に報酬を上乗せする事としよう。
なお、本作戦はいかなる事態が起ころうとも、中止は有り得ない。
君の臨機応変な対応で、依頼を遂行して欲しい。
有力ランカーである君からの、喜ぶべき回答を期待している。
アキラの名を目にしたアストライアーは、次のアリーナでの試合の対戦相手に、彼の名があった事を思い出していた。
彼はアリーナに参戦してまだ3ヶ月足らずだが、参戦するや否やいきなり上位レイヴンに挑戦、それをことごとく打ち破り、現在のアストライアーの一つ下のランクであるB-4にまで上り詰めていた。
しかし個人情報の一切が謎に包まれており、地上にまだ人類が闊歩していた時代、「ニホン」と呼ばれる極東の島国に栄えた民族の子孫とも言われている。本名をそのままレイヴン名にしていて、実際は「海藤 晃」と書くのではとも言われている。
ストリートエネミーは「エイリアンの類」と言っていたが、流石にそれは言い過ぎだろうとアストライアーは思っている。
他にも様々な噂があるが、何せ個人情報の一切が明らかにされていないため、あくまでもそれらは噂でしかない。
そしてアストライアー自身、そのイレギ
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