地下トンネル内調査後編 OK

 一度戻って、再びトンネル内を調査する事になったエグ。
ガッシャンガッシャンとセンサーだらけなタイプと重装甲型のMTを連れてナストロファージが歩く。
『酷い水量ですね』
「ああ、あの爆発で大分パイプから漏れたんだろう。
壁から流れてる箇所が多いしな」
『それでも流れが速いってのは中央部に流れてる証拠ですけども』
「それだと良いが。
別の所だと調査範囲が広がってしまうしな、勘弁して貰いたい」
 暫く入り口から直進して幾ばかの分かれ道で、発見報告の通信が流れる。
『23番機より全機へ。
B−6番区、調査終了。
目ぼしい物見つからず』
『ベータ了解』
 ディスプレイに表示されている広域マップが少しずつ広がっていく。
それでも中央部に辿りつけているチームは少ないらしい。
 『ベータチーム。
中央部は如何なっている?』
『…真ん中に大穴がある。
その先は見えないな。
近付ける様な道もない』
『そうか』
 それでも通信しているMTに更に別の通信が入る。
『アルファチームだ、中央部入口に到達。
…ベータチーム確認、合流する』
 オペレーターの画面上に表示されているベータチームの反応にアルファチームの反応が近づくのが確認される。
 「エレン、最深部に部隊を投入するか?」
「ううん。
どれだけ深いか分からない以上、着地出来ない可能性があるから降下しない方が良いわ。
戻れるかも不安だしね」
「了解だ」
エレンに話し掛けた男性オペレーターがヘッドセットのマイクに声を当てる。
「コーダク、アーセム。
その区域の調査が終わり次第、中央部への最短ルートを算出してくれ。
今すぐ中央部に向かう必要はないが、何かあった為の備えだ」
『了解です』
 


 時を同じくして、地下トンネル密集区域より北へ3千キロ。
モンスター犇めく樹海を駆け抜ける一機の人型高速巡航兵器と、それを追う高速移動を追求したエムロード社のフロートMTと同型ノーマル複数機による追跡を行われていた。
『あれだけは絶対に表に出してはならん。
徹底的に破壊し、残骸が残らぬ様に細心の注意を払え!!』
 ノーマル。
ACのアセンブル機能を限定し、機能を抑える事で、量産性を確保した兵器。
MTより上位の存在で腕の立つレイヴンでも一対一の戦いの際、油断して撃破される例は数多い。
そして、このノーマルは、それをさらにスピード面だけに限定、特化させた類である。
 肩部装備と脚部の――人で言う尻の辺りに接続されている高速巡航用ブースターに取り付けられたミサイル発射承知から大量のマイクロミサイルが発射される。
散会して回避したMT達がガトリングガンやショットガンでミサイルを破壊し、加速する。
 『奴とて、戦闘機ではないのだ。
撃ち落とせ!!』
隊長機の放ったミサイル3発が追撃目標へ向かう。
 
 ――ギュオン!!

突然、脚部(二脚)を前に突き出して、減速する巡航兵器。
あっという間に目標を追い抜かしてしまった追撃部隊は慌てて旋回するも、今迄と比べて比にならない加速に唖然とする他なかった。


 数週間後、トンネル調査達は漸く、最深部への侵入準備が整った。
 減速ブースターを噴射して着地するMT達。
中には作業用MTで降ろされる逆関節型MTも居た。
『此処を頼んだ』
『任せろ』
昇降用ワイヤーを伸ばした大型作業MTがアンカーを打ち込んで、機体を安定させている横で、護衛部隊が見送る。
 低出力に設定されたブースト機能で、ゆっくりと降下するナストロファージの脚部――股間辺りに増設された、地面との距離を測る特殊小型レーザーセンサーが作動す
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まろやか投稿小説 Ver1.50