地下トンネル内調査前編 OK

く、宗教な上に、そもそも宗教概念がないのが多かったりする。
それ以上に文化と云う概念すらないのが普通だ。
企業社会なら宗教は企業にとって利益になりえないし、それ以外の小型社会やレジスタンス社会でも、あまり意味をなさない。
レジスタンス社会なら小型社会程無宗教が広がっている訳でもなく、寧ろ神が存在し、それを信仰し、その教えに背く企業に対して反抗する、と云うのが大体のケースだ。
だが自分達のコロニーでは、それ自体が戦う理由ではない。
 何にせよ、文化を維持できる程、安定出来ているのはプラントコロニーの恩恵だろう。
だからこそ、食事の際は、「頂きます」と言ったりするのだろうが。
 ともあれ、プラントコロニーは、それだけ重要度が高いだ。
無論、それを潰せば、レジスタンス勢力は一気に力を落とすし、接収出来れば、企業社会に於いても莫大な利益が獲得出来る。
企業間でのプラントコロニー争奪戦が勃発すれば、レジスタンス経済にも大打撃を与えるのは確実だ。
だから、レジスタンス勢力は、他勢力と共同で、プラントを共有し防衛する。
生半可なドラゴンやACの襲撃が「へっちゃらだ」と言える程に。
その必要があるからこそ、複数のプラントコロニーとレジスタンスコロニーを結ぶ地下通路の制圧状況は非常に重要で、故に企業部隊が制圧を目論むのは当然の理である。
 只、企業のプラントは必要最低限の食材を生み出す程度の、乏しい生産能力しか有さず、規模や数はレジスタンス社会のそれと比べ物にならない程小さい。
単に文化が発生すれば宗教も発生するから、という流れを阻止したいのが最大の理由な上、企業社会は、それこそ中世の平民と貴族、といった具合にレベルに明らかな差があるのだ。
しかも同じ平民、貴族の中でさえ、ばかばかしい程さが大きいのだ。
 「ふう。
緑茶も茶葉が結構安定して来たな…」
「他の所じゃ絶対手に入らない、超高級品だけどね」
「下手なAC用パーツより滅茶苦茶高いだろうな。
まあ、その辺の経済能力があって漸く企業と渡り合えて入るんだがな」
 百年程前迄は世界中が、様々な国で覆われていた。
企業に社会を乗っ取られてからは、文化や宗教等を奪い取られる事を嫌う者達がレイヴンに何万と虐殺された。
故に、レジスタンスでなくても外部コロニー市民達にとってレイヴンは勿論、企業社会市民さえ恨みの対象になる。
 「整備は終わった。
取り敢えず、冷却系と出力系は大丈夫だ。
応急処置だから他も含めて帰ったら本格的な仕事だけどな。
安心しろ、でかい訳じゃない」
「安心だな」
「そうね、戦力が落ちなくて助かるわ」
「一週間は動けないが、まあドラゴンもMTで対処できるし。
ACが来なきゃ問題ねぇさ」
「よかった」
 
 だが彼らの後を追う影があった。
それに気づくのは後の事だった。
13/03/07 12:48更新 /
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